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2010年5月16日日曜日

大阪市の博物館施策への期待(大阪市博物館施設研究会講演録)

2008年5月18日、国際博物館の日記念シンポジウム「都市の魅力発信と博物館連携‐大阪市の博物館を語る‐」に出講の折、発言した内容が、時を経て、2010年5月16日付で、記録集が発行された。特に著作権に関する記述がなかったので、以下、その内容を掲載する。なお、記録集のPDF等は(少なくとも、2010年5月末現在では)公開されていない。

大阪市の博物館施策への期待

  山口 洋典(應典院寺町倶楽部事務局長)

 私は、お寺を拠点に活動するNPOの事務局長という立場から、博物館群の連携と博物館内の協働を進めてください、というお話をさせていただきます。私の活動拠点は、天王寺区の北西部にあたる下寺町に界隈にある應典院というお寺です。私どものNPOは、そのお寺で活動しています。應典院は平成9年に再建された、鉄とガラスとコンクリートというモダンな外観が特徴です。そこでの活動は既に多くの本などで紹介いただいています。たとえば文化人類学者で東京工業大学の上田紀行さんが書かれた「がんばれ仏教」には「應典院の特徴はとにかく日本でいちばん多くの若い人たちが集まる寺であるということだ」と113ページに記していただいています。実際、應典院は1年間に3万人くらいの若者が集まるお寺です。とはいえ甲子園球場には95万人くらい集まることを考えると、年間3万人が多いかどうかは皆さんの判断によるところです。しかしお寺に若者がそれだけ集まるのは、珍しいことではないでしょうか。また、そうして若者を集める仕組みや仕掛けをつくっているのが、NPOであることこそ、應典院が持つ、大きな特徴であります。そこで、今回は、お寺に人が集まり、多彩な文化芸術活動が展開されるよう取り組んでいるNPO活動の経験から、今後の博物館施策への期待についてお話をさせていただきます。
 まず、應典院の立地についてお話します。先ほどお話ししたとおり、應典院は下寺町という界隈にあります。下寺町の北端に應典院の本寺(ほんでら)にあたる大蓮寺があります。そこから松屋町通り沿いに、浄土宗のお寺が24続いています。世界中どこを見ても、教会ばかり、モスクばかり一直線上に並んでいるところはないのではないでしょうか。私は下寺町界隈を世界一の宗教都市だと思っています。ちなみにこのように配置されたのは、350年ほど前、徳川幕府によって城塞としての都市計画が進められたためです。
 江戸時代から続く寺町の一角にある應典院は、大阪大空襲によって類焼し、その後平成の時代になってやっと再建されました。このお寺の特徴を私は「3ナイ寺院」と呼んでいます。なぜなら、「檀家を持たない」、「お墓を提供しない」、「葬式をしない」ということを前提に再建計画が進められたためです。通常、お寺は檀家さんという家単位のご縁と支援を受けるのに対し、應典院は應典院寺町倶楽部への個人による参加によって支えられてます。入信ではなく入会、そんな風にパンフレットでも紹介させていただいています。このように、檀家さんを持たないために、檀家さんたちに対する墓地を提供する必要もありません。そのため、再建にあたっては死者を中心にお寺の機能を考える必要はありませんでした。そこで、本堂を劇場空間にしつらえて、「シアトリカル應典院」という劇場っぽい名前までつけ、多くの人たちが表現する機会を提供することにしました。このように、檀家を持たず、墓地を持たない、そのため、お葬式もすることがありません。だからこそ多数のイベントを行っています。後にお話しますが、講演会、演劇、映画など、多彩な催しが、お寺でなされており、そこに若者たちが集まってくる、という具合です。
 先ほど小林先生は、文化政策のご専門の立場から「市民に支えられないと博物館は財政的あるいは精神的に持たない」というお話をされていました。私も同感です。と言うのも、お寺も財政的また精神的に市民とつながらないといけないと感じているためです。振り返ってみれば、お寺は寺子屋、門前町、寺内町、そうした言葉に埋め込まれているとおり、市民と建物とのあいだで深い関係が築かれてきました。しかし、お寺と社会とのつながりは、明治の廃仏毀釈、戦後の法整備を通じて薄められることになってしまいました。ただし、應典院の再建の頃、「癒しブーム」が到来しました。再び、生活と宗教が関わりを持てそうな雰囲気が出てきたわけです。だからと言って、そうした風潮に安易に乗るのではなく、まさに温故知新で、寺社での勧進興業が劇場の成り立ちの背景にあった等、歴史に学びながら、お寺と地域とのつながりを回復する担い手としてお寺の内にNPOを設立し、事業の企画運営にあたることにしました。
 ちょうど、共同通信の小川さんが「ハコとモノとヒトがあってこの3つが大事だ」と仰いましたが、まさにお寺も同じです。境内にある伽藍がハコ、葬儀とかの儀式を行う上での設備がモノ、そして僧侶や寺族はもとより檀家・信徒の皆さんがヒトです。これを博物館になぞらえると、建物と土地があって、資料や標本があってそして学芸員がいて一般公衆に供す、という具合です。博物館法の12条にも記されています。このように捉えてみると、お寺も博物館も、ハコでヒトがモノを語る拠点となっているはずです。博物館の場合はその対価として入館料をいただくわけですが、お寺の場合はそれがお布施となるでしょう。
 ただ、そこでお寺と博物館が決定的に違うのは、博物館の場合は入館料だけでは運営ができないために、自治体等によって予算が充てられているという点です。しかし、共通して重要な点は、単にハコ、単にモノ、大事なのではなく、そこにいるヒトが、モノやハコの意味を理解して、きちんと物語をつくり、人々に提供しているということです。ここで、大阪府の方針に対して批判することになるのですが、この文脈を無視して費用対効果を評価し、効率化を優先しては、社会的・文化的な価値を見いだすことなどできません。極端な表現に聞こえるかもしれませんが、博物館など公立文化施設の廃止を進めるというのは、「あれだけ寺町にお寺が集まっているのは無駄なので、大きなお寺をひとつだけ建てて僧侶はみんなそこに行きなはれ」とも言わんばかりの話に聞こえます。私はそれぞれの館には、それぞれの館ならではの物語を紡ぐ語り手、つまりヒトがいるはず、そう思っています。
 では、実際應典院においては物語が展開されているかというと、「寺子屋トーク」と題した本堂でのシンポジウムのシリーズや、「いのちと出会う会」と題した死別経験等を語り合うトークサロン、「コモンズフェスタ」と題したアーティストと多彩なNPOとの協働による総合文化祭など、実に多様な事業を通じて、人々の暮らしといのちの問題とをつなげています。このように、應典院寺町倶楽部がお寺と社会との糊代となって、教育とか福祉とかアートの問題について、NPOの立場と観点からハコを活かしています。年間50ほどの演劇、10ほどの映画、70ほどの参加型企画が應典院で展開されていることを考えると、ハコとモノとヒト、この3つがそれぞれに大事であることは言うまでもないのですが、それらのイベントが実施できるのは應典院寺町倶楽部を通じて、僧侶をはじめとしたお寺のスタッフと外部からのボランティアが協働することで物事や出来事を動かせているという点が重要だと思っています。
 実は今回、ハコとモノとヒトを、NPOが活かしていくことの意味について改めて取り上げさせていただいたのは、以前に自然史博物館の佐久間さんとシンポジウムでご一緒した際に、特定非営利活動法人大阪自然史センターの取り組みに大変興味を持ったためです。自然史博物館ではホールや展示室や講堂があり、収集した展示物があって、学芸員やスタッフの皆さんが働いていらっしゃいます。やはり先ほどの、ハコ、モノ、ヒトの3つに対応します。この「ハコ・モノ・ヒト」を活かすもう一つのヒトがNPOではないか、と考えています。自然史博物館に対しては自然史センターが、應典院に対しては應典院寺町倶楽部が、それぞれ該当します。実際、こうした外部とのネットワークは、人脈や知恵といった無形の財産、資源として活動を充実させてくれます。ハコ、モノ、ヒト、という感じで並べるなら「ツテ」と言えるでしょう。
 このように、多くのツテを活かして應典院での活動が充実するよう工夫を重ねているのですが、今回のパネリストの一人でもいらっしゃる大阪市立近代美術館建設準備室の菅谷さんと「大阪でアーツカウンシルをつくる会」という活動を一緒にさせていただいています。ところが、8onというのは今回初めて聞きました。しかし資料を拝見させていただいて、運営の一元化と文化政策との連携を目指す目的でゆとりとみどり振興局が中核にネットワークを展開するというのは画期的だと確信しました。共同広報をはじめ、文化・教育の連携、共通専門業務というものを効率的に行い、かつ効果を出す、その両側面が導かれれば極めて画期的だと感じています。「効率的」にしようとすることが「効果的」になるようにするのは簡単なことではありません。緊縮財政のなか、博物館群として次の一手を考えていくこと、それは難しいかもしれないのですが、こうしたネットワークがあれば可能性はあるのでは、と感じました。
 さらに言えば、先ほどの自然史博物館の山西館長就任のご挨拶をインターネットで拝見して、そうした博物館がネットワークの中にあれば、他の博物館にもよい影響が導かれるのではないか、とも思いました。その挨拶文の中でも、私は2箇所でなるほど、と感じました。一つは「博物館は市民に開かれた大学でなければならない」という歴代の自然史博物館の館長や以前の学芸課長らが仰っていた言葉で、もう一つは「日本博物館協会日本博物館協会は21世紀にふさわしい新しい理念として「対話と連携」の博物館を提唱しています」という部分です。本来、このような場に私が招かれたということは、何か新しいことを伝える必要があるのかもしれませんが、むしろこういうお考えを大切にされている方が8onのネットワークの中にいらっしゃるのであれば、ぜひそうした思いに対してそれぞれの共感や共振が生まれて欲しいと願い、ここで私からご紹介させていただいている次第です。
 しかし、博物館群として積極的な連携が効率的かつ効果的に進んでいったとすると、つまり群内の博物館の間の連携がとれてくると、改めて館内の協働こそが重要になってきます。ここで連携とは一緒にすること、協働はお互いのできないことを補い合う、という意味で使い分けています。群内の連携が見えてきた今、それぞれの館内での協働の充実を上で必要な視点は、ありきたりな指摘かもしれませんが市民との対話の姿勢と実践でしょう。市民との対話を行うということは、博物館が館外に対しどのような関係を築いていくか、ということです。そうして個々の館が市民と関わりながら得た経験を、群内で連携している他の館との間で共有し、さらには館内でも共有することで、大阪の博物館が置かれている環境は一層充実していくだろうと考えています。
 もちろん、市民との対話というのは簡単なことではありませんので、一つ、私が関心を向けている事例を紹介させていただき、対話の有り様について見つめてみることにしましょう。と言うのも、今、應典院でテーマに掲げているものの一つに「防災」があって、資料を収集しているのですが、プラスアーツというNPOが取り組んでいる「イザ!カエルキャラバン!」が実におもしろいんです。これは神戸市の震災10年記念事業として平成17年から始まり、翌年から全国で展開されるようになりました。そのプログラムの一つに、蛙の図柄がついた板を水の入った消火器でこどもたちが狙う、という的当てゲームがあります。このゲームのツボは、カエルを引っくり返そう、それでポイントを稼ごう、と子どもは必死に消化器を使うことにあるのではありません。子どもがそうやって遊ぶために、親が消化器の使い方をまず覚えて、子どもに伝えるということにあります。そうして親子で防災の知識とか知恵を学ぶ、また共通の経験を持つ、そこに大きな意味があるんです。
 この「イザ!カエルキャラバン!」の事例が教えてくれるのは、子どもの遊びと学びのプログラムを展開すると、親も巻き込まれるということです。しかも、「防災」という大きなテーマであるにも関わらず、うまく世代間をまたいでいます。こういう仕掛けがそれぞれの博物館で共に考えると面白いなという気がしました。こうしたプログラムは回り道かもしれませんが、最終的に知識や知恵が身に付くものだと思っています。
 以上、お寺での取り組みをもとに、博物館と社会とのつながりについてお話させていただきましたが、まとめをさせていただきます。今回、私に与えられたテーマは博物館がどういう可能性を持つのかということでした。私は博物館の可能性とは、外部からの呼びかけや投げかけに応えることができるかどうかにかかっていると考えています。應典院では、大阪府の現代美術センターと「大阪・アート・カレイドスコープ」という事業を、大阪市のゆとりとみどり振興局と「現代芸術創造事業」を共にさせていただいてきていますが、自治体の文化政策を充実させていくには、「借り物競走」が大事ではないか、そんな風に捉えています。例えば、「大阪・アート・カレイドスコープ」では、私たちが場所を提供しました。こうして、借り物競走をしていくと自分たちの良さ、つまり何を持っているのかがわかってくるような気がします。ここから言えるのは、「博物館が何かをする」だけではなくて「博物館と何かをする」というパートナーが出てくると、博物館が持つ可能性はさらに広がるだろうということです。そうなると市民の人たちもたまたま面白いことをやっているのが博物館であり、博物館に面白い資料があるということになってくるでしょう。そういうパートナーをいかに見つけ出していくのか、それぞれの博物館の姿勢が問われているのではないでしょうか。少なくとも私たちはNPOとしてパートナーのひとりだと思っています。
 私が今、博物館施策というか、文化政策において、いちばん問題だと思っているのは、評価が入館者数になっていることです。だからと言って、ただ入館者数を増やそうではなく、面白いことをやっている博物館に行きたく、という雰囲気づくりが大事ではないでしょうか。ですからその博物館の面白さ、こんな可能性があるということを引き出す、そういうパートナーを探しつつ、その担い手となる立場としてNPOも選択肢として考えていただければ、と願っております。
 最後に、村田真さんという方の「美術館は脱美術館すべきだ」ということばを紹介させていただきます。この表現は、そのまま博物館という言葉に置き換えていただいて構わないでしょう。具体的には、「社会に開かれた公共施設であるにもかかわらず美術と社会を橋渡しするどころか、美術館そのものが内側の“美術”を外側の“社会”から遮断する額縁のごとき役割を負っている」という意見です。作品の抱え込みをしてはいかん、と置き換えたら簡単にしすぎと批判をいただきそうですが、少なくとも應典院は、「脱お寺化」するアートプロジェクトとして「お寺でアート」をしています。そういう意味でお寺を俗から切り離し過ぎるとお寺の社会的役割が見出せない、と、村田さんの言葉に合点がいっています。悪ノリするようですが、「額物のごとく」というのは、お寺自体が「墓場のごとく」と言えるかもしれません。ともかく、「脱博物館化」、「脱お寺化」、そのようなメッセージをこういう文章の中から見出せるかもしれないと思って最後に読ませてもらいました。
 應典院では、昨年再建十周年にあたり「呼吸するお寺」と題した記念誌が発行されました。お寺を身体に例えて、社会と呼吸することが大事だ、というメッセージがそこには見て取れます。最後の最後で、このメッセージから言えることを考えてみると、社会的な施設が、市民の精心的な拠点になる上で重要なのは、「for 市民」の事業を進めるのではなく「with 市民」で事業を進めることにあるのではないかと思っています。広い意味では全ての事業は市民を対象に行われるのでしょうが、一方で市民と共に展開する事業があってもよいのではないか、ということです。少なくとも、そうした考えの参考として、私たち應典院や應典院寺町倶楽部の取り組みが参考になればうれしく思います。ご静聴ありがとうございました。

(pp.38-42)

<総合討論での発言>
 問題として提起された点は、それぞれ極めて重要な論点だと思っています。ひとつ目の博物館振興方針についてですが、この点は当事者ではないと思いますので、感想で失礼します。私は午前中のパネルディスカッションが、博物館による自己評価の機会となっていると感じました。もちろん、発言の全てが博物館としての公式見解ではない部分もあるかもしれませんが、学芸員の方々がそれぞれの館を背負って人々に対して語る、こうした機会は適切な自己評価の習慣がつくこととなり、結果として現状認識から展望を見いだすことができるという観点から、ぜひ継続して行っていくのがよいのではないでしょうか。
 博物館リテラシーも、自己評価という観点と重なる論点だと感じています。リテラシーとは、「読み書き能力」という意味の外来語ですけれども、読み書きというくらいですから、読む部分と書く部分、両方の均衡を図ることが重要となります。思いつきのような話で恐縮ですが、最近言われているKY、「空気読めない」という言葉は、リテラシーという概念の読む部分だけに注目したものです。リテラシーという概念から考えると「空気書く」部分も大切だと言えるのではないでしょうか。ただ、空気を書く、というとピンと来ないと思いますので、空気を読むことが雰囲気を感じ取る、ということと置き換えますと、「雰囲気をつくる」ということを意味します。
 つまり、今の博物館は、またがこのシンポジウムも大阪市の空気を読んで、緊縮財政だとかそういう雰囲気を感じ取って、自らの立場や方針を適切に評価していると思っています。一方で、市民に対して空気を書いているのか、博物館にまつわるよい雰囲気をつくれているのか、そうした博物館内の体制や学芸員の姿勢が問われているのだと思っています。博物館が社会的な存在として、特に社会教育施設として市民と共に行動していけるのか、そうした関わり方が今後問われてくるでしょう。
 既に博物館と市民の関わり方については、私の発表の際にも触れたところですが、市民と一緒になって何かやるというのは簡単なことではないことを、ここで強調させていただきます。要するに、安易にNPOと一緒にやるだけでは何も変わらないし、むしろよけい博物館の姿勢や体制に対し首を絞められることもあるということです。よくNPOの特徴として自発性と専門性が挙げられるわけですが、専門的な知識や経験を持つ市民が組織化されたNPOと共に何かをすることが、市民と共に何かをしていると受け止められないこともあります。NPOの側からしても単に業者の一つと思われることもありますし、市民の側からしてもNPOは「プロの市民」であって市民を代表していない、などと言われることもあります。さらにはNPOのパートナーシップのもとで協働を進めていますと、何かをすることだけが目的となって、大義名分としてすり替えてしまっては、本来の意図からはどんどん離れてしまいます。
 私たちのNPOも自治体の事業を担っていますので、自戒の念を込めて言うのですが、NPOと行政の協働を行う際に重要な視点は、NPOは自発的に始めることは得意なのですが、使命感が高まりすぎてやめる自発性を持ちにくい性格があります。やりましょうはあるのですが、やめましょうとなかなか言わないし、言えない、それが私たちの自己評価でもあります。
 以上、午前中のシンポジウムがビジョン形成につながる自己評価の機会であったという点、続いて博物館のリテラシーという観点においては市民と博物館とがよい雰囲気づくりを行う「空気を読み書き」が重要となる点、そして市民との関係づくりにおいては市民社会におけるNPOの位置づけと活動特性に留意する必要があるという点、これらを頂いた問題提起へのお応えとさせていただきます。最後にもう一度、評価のことについて触れさせていただくと、今回のシンポジウムはことさらに評価と言わないまでも自己評価の機会となっていたと思っています。私もまた、発言の機会をいただくことで、自らの組織や活動を振り返ることができました。評価には自己評価と第三者評価に加えて、その間の仲間評価とでも訳せるピアレビューという方法があります。せっかく博物館群というつながりがあるのですから、単にお互いのところを賞賛する、あるいは卑下するだけではなくて、それぞれのハコ、ヒト、モノ、またツテをお互いに見つめる動きが出てくることを期待しています。

(pp.50-51)


<ちなみに、以下の内容についての発言も校正としてお送りしていたのですが、紙幅の都合で割愛がなされたようです>
 今回改めて「8on」という取り組みを知ることになったのですが、安田さんも強調されていたように、冒頭の高井さんの発言にあった5km圏内に8つの博物館が立地していることに、大阪の文化的特性が反映していると感じています。その集積度の高さは言うまでもない魅力ですが、それらが都心にあるということこそ、大事にすべきだと考えています。つまり、これだけありますよ、だけではなく、それぞれの博物館の周りには何があるのかも把握する必要もあるのではないか、ということです。
 一つの例が東京の下北沢という演劇街でしょう。下北沢が演劇のまちであると言われているのは、ただ劇場が群がっているから、というのではなく、劇場と劇場の間をいろんなお店が繋いで演劇文化を育てていることにあります。具体的には、演劇を観たあとでちょっとしたものを食べたり飲んでから帰るとか、劇団が稽古場に使っている馴染みの場所の周りにアジトのような居場所ができているわけです。
転じて大阪市の博物館群について考えると、博物館の食べ物屋さんとか本屋さんとか駐車場だとか、それらの地域資源との協働を考えていくと、まちの中の博物館としてまちに活かされるのではないでしょうか。橋下知事が言っている大阪ミュージアム構想も地域資源の魅力を再発見するという点で共通する点もあるのでしょうが、ライトアップしてひきたてるだけではなく、人が動くことで資源として活かされることもあると思うのです。ミュージアムをまちの中の単体の施設として捉えるのではなく、まちと博物館との関係から考えていかないと、安易に施策に誘導され、時に翻弄されてしまい、なんとなく華やいでいるといった一時の感覚に止まってしまうのではないかと感じています。
 何度も言いますが、ハコとモノとヒト、私はそこにツテ、すなわちネットワークがあって想いが伝わっていくと確信をしています。今後、ハコ・ヒト・モノがセットになった場所の周りに何があるのかということから、博物館や博物館群のあり方を考えていくとよいのではないでしょうか。
 博物館がまちに活かされ、まちそのものになっている代表が、ワシントンD.C.のスミソニアン博物館群のモールと言われているところでしょう。もはや、スミソニアンの代名詞がモールであり、モールの代名詞がスミソニアンになっているからです。人が集まる場所に博物館がある、まさにまちの文化的価値を博物館がもたらしているわけですので、大阪もまた、形は違いながらに、都心の博物館ゆえの魅力が発信されることを願っております。

2010年4月29日木曜日

共時性と共空性(京都新聞寄稿)

 京都市景観・まちづくりセンターの「京都まちづくり学生コンペ」などでお世話になっている深田さんから原稿依頼をいただきました。3案書いたのですが、結果として以下のものが掲載されることになりました。また、その他の2案が日の目を浴びる機会もあるかもしれませんが、ともかく、最終的な判断は、「日付」という、言わば消印が押される新聞というメディアに載せるべき内容は何か、ということでした。とはいえ、最後の最後まで悩んで、無理を言ってしまったことを反省しています…。

京都創才 凛談◆未来に架けるメッセージ88
激動の時代。私たちは未来に向かい何を携えて進むのか。日本文化の源流「京都」から発する斬新なメッセージが、京都・滋賀、日本、世界の進むべき指針を問いかけます。

共時性と共空性
山口 洋典
同志社大学准教授

 先般、京都市景観・まちづくりセンターの「京都まちづくり学生コンペ」の審査で「夜街」なる提案を見て、圧倒させられました。ある近隣商店街を対象に「閉店時間を過ぎた後の軒先を第三者に貸し、その店に住まう方も、他の店舗の軒先で新たに展開される内容を楽しむ」というものでした。残念ながら、特に担い手の問題から実現可能性が問われ、最終的な評価は高くはなりませんでした。しかし「同じ時間を共に過ごす」共時性よりも、同じ空間でどこまで多様な経験を出来るかという「共空性」への問いかけだと解釈し、強い印象を抱きました。
 私も利用者ながら、今広がりを見せている「ツイッター」には、過度に共時性が評価されています。これはインターネット上で自らの思いを140字までつぶやくサービスです。利用者があらかじめ関心のある投稿者を登録、あるいは利用者の興味があるキーワードで検索すると、その結果が投稿時間の新しい順で表示されるシステムです。この流れは「タイムライン」と呼ばれ、他者のつぶやきを見ながら、自らがつぶやき、そのつぶやきに反応して誰かのつぶやきが重ねられると、コンピュータの画面に表れる時間軸の中に、私の存在感を見て取ることができます。
 私も含め、このような「言説空間」での存在感を楽しめる人々に触れると、フランスの作家、ギー・ドゥ・ボールが1970年代に指摘した「スペクタクルの社会」という視点を想い起こされます。社会の一員である人々が、目の前に映し出される世界を受け身で楽しむ世界に浸っている状態に気づけていないことが問うた概念です。ここから、携帯電話を通じて、手のひらの上に公共空間を持ち運び、世の中の動きに浸ることができるツイッターは、時代の流れを見つめる観客に留らせてしまわないか、という問いが浮かびます。まちという空間に持ち込まれたプライベートな小宇宙をどう捉えるか、良い・悪い以外の価値観で捉える必要がありそうです。
 そもそも、まちの営みにおいては、そこに「居る」ことが存外重要とされます。住居、居場所、立ち居振る舞いなど、多くの言葉にも埋め込まれています。時間の流れに乗るだけでなく、空間の中に誰かと共に居る、その作法を磨いてくことも大切です。今、自らが疎外されたくないとインターネットにつながりを求める人々に、空間を共にする中で互いに疎外しあわないように関わり合う、こうしたコミュニケーションの原初的なかたちが問われています。

◎やまぐち・ひろのり
1975年静岡県磐田市出身。専門はグループ・ダイナミックス。同志社大学大学院総合政策科学研究科でソーシャル・イノベーション研究と教育に従事。2006年5月に法然院で得度し、 浄土宗宗徒に。同年より大阪・應典院主幹。

紙面はゼロ・コーポレーションのページよりPDFにてダウンロード可能です。http://www.zero-corp.co.jp/company/article/zero/100429kyoto.pdf(ただし、最終紙面とは、若干内容が異なります)

2009年7月7日火曜日

works

山口 洋典(やまぐち・ひろのり)

 業績一覧


著書 (著者及び共著者名、年、分担項目名、編著者名、書名、発行所、初頁~終頁)


山口 洋典 2010 コミュニティ・アクティベーションの視点:イタリア・ミラノにおけるメディアの重層性から 松浦さと子・川島隆(編) コミュニティメディアの未来:新しい声を伝える経路  晃洋書房 98-110.

  • 第7章として所収された原稿は、第II部「社会運動とコミュニティメディア」の1つとして所収されている。人物、空間、情報技術の効果的な利活用が、人々のコミュニケーションを豊かにすることに着目し、イタリア・ミラノの事例から、特に日本初のNPO法人によるコミュニティFM局が設立された京都地域を具体的な対象地として、今後のコミュニティ・メディアの展望を述べた。


山口 洋典 2009 ネットワーク型まちづくりでつながる・まとまる・ひろがる 上町台地コミュニティ・ビジネス研究会(編) 地域を活かす つながりのデザイン:大阪・上町台地の現場から  創元社 140-163.(第6章本論)

  • 第6章のメインテーマ<いとなみを結ぶ>に即して、上町台地界隈で展開されているネットワーク型まちづくりの活動主体「上町台地からまちを考える会」の事例を紹介した。また、事例に対する考察を、メタファー論を用いて行っている。


山口 洋典 2009 現代におけるコモンズとしての宗教施設の可能性 上町台地コミュニティ・ビジネス研究会(編) 地域を活かす つながりのデザイン:大阪・上町台地の現場から  創元社 131-136.(第5章補論)

  • 第5章のメインテーマ<いのちを見つめる>に即して、本論で紹介された「お寺の資源力を活かす」という視点に対し、特に日本において近代国家の成立後、宗教施設がどう位置付いてきたかについて論じた。とりわけ、人々がまちに重ねるイメージ、すなわち「風景」の観点からお寺の有り様に接近した。

山口 洋典 2008 文化創造拠点としての宗教空間:コミュニティとNPO,そして場としての寺院 井口貢(編) 入門・文化政策:地域の文化を創るということ  ミネルヴァ書房 213-226.(第13章)

  • 宗教法人と公益について、大阪市天王寺区の「應典院」を事例に取り上げ、論じた。とりわけ、歴史的にコミュニティの核であることに着目しつつ、寺院が現代においてもコミュニケーションの場として成立するためには、「スピリチュアリティ」を批判的な側面も含めて取り上げていくことが必要であることを示した。

山口 洋典 2006 ネットワークからニットワークへ 佐々木雅幸(編) CAFE:創造都市・大阪への序曲 法律文化社 74-82.

  • 上町台地からまちを考える会の設立の経緯と経過を、地域内のネットワークの拡大という観点から述べた。とりわけ、地域内のネットワークを拡大していく際の外来者の視点の大切さを明らかにするために「ニットワーク(編み物作業)」ということばを導入して、協働のあり様とあり方を述べた。

山口 洋典 2005 情報化とNPO、NPOのネットワーキング、NPOスタッフの教育・養成、NPO・ボランティア教育、中国のNPO・ボランティア 川口 清史・田尾 雅夫・新川 達郎(編) よくわかるNPO・ボランティア (やわらかアカデミズム「わかる」シリーズ) ミネルヴァ書房 (各2ページ) 

  • 見開きによる2ページにわたって一つのテーマを簡潔に説明した。また、章と章の間の「活動の現場から」の写真とコラムも担当した。

山口 洋典 2000 大学と地域が協働で取り組むNPO人材養成 特定非営利活動法人きょうとNPOセンター・財団法人京都新聞社会福祉事業団(編) 京都発NPO最前線―自立と共生の街へ 京都新聞社 95-105. 

  • 本書自体の制作の契機となった「NPOスクール」の黎明期について、学生の受入団体の声も交えて詳説した。インターンシップ・プログラムは、学生の教育プログラムに留まらず、分野と地域を越えた団体間連携をも導くことを明らかにした。なお、制作にあたっては本文写真と表紙デザインも担当した。


学術論文(著者及び共著者名、年、題目、誌名、巻、初頁~終頁)



山口 洋典 2009 自分探しの時代に承認欲求を満たす若者のボランティア活動:先駆的活動における社会参加と社会変革の相即を図る「半返し縫い」モデルの提案 ボランティア学研究(9), 5-54.

  • 自分探しという表現は、時に否定的な言説として用いられるが、ありたい自分を探していくということは、根源的に否定されるべきものではない。そこで、本稿では、中華人民共和国の内蒙古自治区において、エコツアーと称して展開されてきている沙漠緑化プログラムで、参加者とプログラム事務局ならびに現地の方々がどのような関係を構築しているかを事例として取り扱った。そして、現代を生きる若者たちが、自らを物語るときに、複数の自己、すなわち多元的自己を有していることに焦点を当てた。その上で、先駆的なボランティア活動が展開されていくためには、日常の風景から逃避せず、自己満足に埋没してはならないとする観点から、活動現場と日常生活との関係について「半返し縫い」モデルを提示することとした。


山口 洋典 2009 well-designedな生活スタイルの実現:フィンランドにおけるソーシャル・イノベーションの源流を見つめて 同志社政策科学研究(11)2, 205-207.

  • 2008年10月22日から29日にかけて、文部科学省「大学・専修学校等における再チャレンジ支援推進プラン」に採択された「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」の先進事例調査のためにフィンランド共和国を訪問した。調査の目的は、ソーシャル・イノベーションを生み出すための社会制度と、多様なセクターの協働による社会変革のコーディネートの様式から、日本における社会人教育プログラムのあり方を検討することであった。本稿では、フィンランド市内の各実践団体と、フィスカルス村でのアーティスト組合の活発な取り組みを紹介し、物事の判断が合理的であるだけでなく、いわゆる「もの」のデザインだけでなく、人間関係の有り様(ひとの関わり方のデザイン)もまた、よく考え抜かれているということを示した。このことから、フィンランドはwell designed(組み合わせがよい)社会システムを有している国、と表現した。

鳥居 史絵・山口 洋典 2009 道具の身体性から見た竹筬の復興に関する一考察:道具の復権を求めたアクションリサーチから 同志社政策科学研究(11)1, 77-96.

  • 第二筆者が指導教員であった、第一筆者の修士論文をもとに、政策・施策の段階的・断続的な展開だけでは、伝統産業の活性化に限界があることを示しつつ、生産のための道具への関心が、多様な主体が協働する端緒となることを明らかにした。特に、手織りによるはた織り機の部品の一つである筬(おさ)について取り上げ、中でも竹製の筬を織り手が用いることが手織り産業全般の活性化に寄与するのではないか、という問いにアクションリサーチの手法により接近されている。具体的には、手織り産業において竹筬は、織り手の身体を延長するものとして位置づけられるとの観点から、身体化された道具の復権こそが、産業の維持・発展、転じて復興を導くことを示した。

山口 洋典 2008 「研究フィールド×理論」が紡ぎだすもの : 「脱ボランティア日記」化のためのフィールドレポート 同志社政策科学研究(10)2, 205-207.

  • 筆者が携わっているフィールドワークの現状を報告し、論文執筆に向けて実践の抽象化のための視点を述べた研究活動の報告である。取り上げたフィールドは、寺院、NPO、行政、大学の4つである。それぞれに、グループ・ダイナミックスにおける記憶研究、アートマネジメントの観点における社会と芸術の関係、震災からの産業面からの復興、NPOを通じた大学による地域貢献という視点で、事例の抽象化を図った。そして、「料理」のアナロジーを用いることによって、フィールドワークの報告が、単なる「ボランティア日記」にとどまらないための視点を明らかにした。

山口 洋典 2008 ソーシャル・イノベーション・スキルセットに関する一考察:コミュニケーション力とコミュニティの維持・発展のリーダーシップ発揮の観点から 同志社政策科学研究(10)1, 75-92.

  • 執筆時点で初めての修士論文提出者を迎えた、ソーシャル・イノベーション研究コースの教育・研究の取り組みを振り返り、同コースに学ぶ社会起業家の卵に必要とされる要素について検討した研究ノートである。その際、筆者自身が研修プログラムに参加した、アメリカ合衆国国務省による「International Visitor Program Multi Regional Program "NGO Management"」の内容を整理し、「スキルセット」としてとりまとめた。


山口 洋典 2007 書評「杉万俊夫(編著) 2006 コミュニティのグループ・ダイナミックス 京都大学学術出版会」 同志社政策科学研究(9)2, 195-197

  • 2006年度、2007年度と、同志社大学大学院総合政策科学研究科ソーシャル・イノベーション研究コース「臨床まちづくり学」のテキストとしても用いた書物の書評を執筆した。特に、研究論文等において、日常生活でも用いられることばが専門用語として用いられる場合の注意点を示し、フィールドワークを通じた実践的研究の成果の読み解き方について、内容を評じながら論じた。


山口 洋典 2007 ソーシャル・イノベーション研究におけるフィールドワークの視座:グループ・ダイナミックスの観点から 同志社政策科学研究(9)1, 1-21.

  • 研究者が実践をいかに記述するかに特に焦点を当て、フィールドワークが社会変革を導くための効果的な研究方法となることを明らかにした。実践事例として、京都府国際課による「インドネシア技術交流プロジェクト<てこらぼ>」を取り上げ、実践の中に見られるソーシャル・イノベーションについて、「意味創出」と「意思決定」の両面に見られる「ストーリー性」に着目して論じた

山口 洋典・増田 達志・関 嘉寛・渥美 公秀 2003 エコツアーにおける環境教育の効果 ボランティア学研究 (4), 53-81.

  • 勤務先(大学コンソーシアム京都)において2年間取り組んできた、中華人民共和国内蒙古自治区を対象地としたエコツアーの実践において、沙漠緑化活動に対して現代の若者たちがどのような関心で参加し、同時に社会人の動機や関心の相違はどのような点であるかを考察した。その際、近代の「アイデンティティ」に関する議論を援用した。


□一般論文(著者及び共著者名、年、題目、誌名、巻、初頁~終頁)

秋田 光彦・山口 洋典 2007 お寺の原点回帰:社会に参加する仏教の実践 観光文化(184) 6-9.

  • 應典院という寺院が掲げる三つの理念、「ひとが、集まる」、「いのち、弾ける」、「呼吸する、お寺」という言葉を手掛かりに、取り組みの本意、交流の様子、今後の展望について述べた。應典院がお寺が担ってきた地域の生活を支える機能を取り戻すために、自責(なぜ若者はオウムに走ったか)と自戒(お葬式をしない)の念から、仏教界に、また地域に対して挑戦と挑発を行っていることを示した。

山口 洋典 2006 地域発・地域着のネットワーク型まちづくりの実践 季刊まちづくり(11) 114-119.

  • 博士論文で執筆した「ネットワーク型まちづくり」を展開する上での方策について4点を指摘した。上町台地からまちを考える会を事例に、発会の前史に遡って活動を追うことで、地域内外との緊張関係のなかで、地域の魅力が醸成されることを述べた。

山口 洋典・秋田 光彦 2006 ソーシャル・イノベーションのためのコミュニケーションデザイン:映画「ザ・コーポレーション」に学ぶ市民社会の応答責任 NPOジャーナル (Vol.13) 52-53.

  • 2004年のカナダ映画「ザ・コーポレーション」が扱った、企業の社会的責任(CSR)の観点から、市民は何をなすべきなのかをR(response)という点に着目して論を展開した。また、地域社会において仏教の世界観が生活の質を高めていくことに貢献できるのではないかという示唆を述べた。

山口 洋典 2003 NPO分野の教育・人材育成講座事務局の役割に関する一考察 大阪大学大学院ボランティア人間科学紀要SYN(4)、379-390.

  • 勤務先(大学コンソーシアム京都)において、大学院博士前期課程時代より関わってきたNPO分野の教育・人材育成プログラム「NPOスクール」の総括を行った。具体的には、一般にNPO分野のインターンシップ・プログラムの事務局は何を、なぜ、どのように取り組むものであるのかをまとめた。


山口 洋典 2003 自らの経験を抽象化して呈示する6つの力を育てている 経済学教育(22) 経済学教育学会、14-19.

  • 4年前、大学院博士前期課程に在籍していた際、同学会で発表した内容を踏まえ、社会人院生としてどのように学生と学業に目を向けているのかを詳説した論考である。自らの実践を改めて総括しながら、高等教育の一環として経験を抽象化することの意味、意義についてまとめている。

山口 洋典 2002 新しい学びの場を創出する京都の挑戦 CEL (61) 大阪ガスエネルギー・文化研究所、32-36.

  • 「創造都市の時代へ」という特集とあわせて、ソフト開発の結果導かれたハード開発という流れに対してさらなるソフト開発が必要となることを、京都における実践をもとに解題した。京都が有する地域特性において、「ものづくり」と「ひとづくり」の環境が構築されていた点も指摘した。

山口 洋典 2002 モデル化とメタファーを通じた協働的実践の理論化:まちづくりと地域通貨に関する人間科学によるアプローチ 大阪大学大学院ボランティア人間科学紀要SYN (3)、192-200.

  • 自然科学から人間科学へと、諸現象に向き合う姿勢を変えたことで、これまで見つめてきたフィールドがどのような理論と符号し、概念にて説明が可能かを整理した。別稿にて示した「まちづくり」に対して「長縄跳び」をメタファーとしたことを手がかりに、「地域通貨」に「灯台」を援用した。


山口 洋典 2002 「大学のまち」京都の持つブランド力と可能性 龍大論集 (1) 龍谷大学社会学部学会、182-184.

  • 龍谷大学社会学部学会の設立記念の雑誌として、大学のまち・京都が持つ多様な価値についてまとめた。とりわけ、大学コンソーシアム京都の事業の紹介を紹介しながら、学生時代に筆者自身がどのような生活を送ってきたかに触れ、学生たちの積極的な学び(文化的実践)への参画を促すものとした。

山口 洋典 2002 大学のまち・京都での社会起業家育成プログラム:コミュニティ・ビジネス&サービスに注目する意味・意義 地域政策研究 (17)、16-25.

  • 「コミュニティ・ビジネス」に関する特集号において、地域全体(行政、実践家等)との協働的実践として取り組んでいった、大学コンソーシアム京都の「コミュニティ・ビジネス&サービス講座」の事例紹介を行った。なお、事例をとおして、他地域の実践に着手する際に検討すべき事項を整理した。

山口 洋典 2001 大学コンソーシアム京都におけるNPO教育の成果と課題 日本NPO学会NPO教育研究会報告書「NPO教育と人材育成」、67-78.

  • ティーチング・アシスタントとしてNPO分野のインターンシップ・プログラムの企画実施に関わった背景も含め、着実な実践に取り組む必要性と緊急性を示した。若年者の雇用問題が深刻化しつつある中、自分ならではの仕事と暮らしのあり方について触れた点は、学界にも貢献できている点である。


山口 洋典  2001 こだわりが導く地域の社会的・文化的な豊かさ 月刊社会運動 (253) 、21-29.

  • 地域通貨という、一見経済的な側面を中心にした実践が、地域の社会的・文化的な豊かさを導くに資するものであることを整理して述べた論文である。諸外国の実践事例にも触れながら、地域通貨が協働をひもとく道具になることについてまとめている。


山口 洋典 2001 地域通貨とコミュニティ支援 静岡大学生涯学習教育研究 (4)、97-102.

  • 静岡大学での講演録をもとに、加筆修正した報告論文である。地域通貨の実践が地域の暮らしや仕事をどのように再構築していくか、そしてそれらによって導かれる「働きたい、住みたい、学びたい、遊びたい」地域の理想像について、滋賀県草津市での実践事例をもとに述べている。


山口 洋典・桐山 洋一郎・藤岡 惇 1999 学生互助組織による参画型講座の展開 経済学教育 (18) 、125-130.

  • 戦後50年を迎えて取り組んだ平和学習プログラムの実践についてまとめた報告論文である。Student Assistant制度の確立をとおして、学生が学生を支える仕組みづくりと、行動的な学びに取り組んでいく仕掛けについて、国際的な平和学習のネットワークを構想し、まとめている。


□その他原稿

  • 橋爪 伸也・山口 洋典 2007 巻頭対談 應典院10周年、新たな取り組み:呼吸するお寺へ 大阪春秋(127) 2-10.
  • 山口 洋典 2007 アーツカウンシルの設立を願う 季刊上方芸能(164)  28.
  • 山口 洋典 2006 山口 洋典 2005 コミュニティ再生のための諸施策 広域地方政府化とコミュニティの再生に関する研究 NIRA研究報告書2005046 関西社会経済研究所・東北開発研究センター(斉藤 弥生・松井 哲之との共同執筆)(第1節 コミュニティ・ビジネスと地域経済・社会の活性化を執筆)
  • 山口 洋典 2005.2.4 まちづくりの長縄跳び理論 澪標 大阪日日新聞 11面
  • 山口 洋典 2004.12.21 私たちの大切なもの、とは… 澪標 大阪日日新聞 12面
  • 山口 洋典 2004.11.2 何かに「見立てる」メタファー思考 澪標 大阪日日新聞 9面
  • 山口 洋典 2004.9.17 まちにまつわる物語の「上書き保存」 澪標 大阪日日新聞 10面
  • 山口 洋典 2004.8.6 「ことば」とまち・ひと・もの・出来事 澪標 大阪日日新聞 17面
  • 山口 洋典 2003.8.30 積極的に「学び」と向き合う 私の思い 京都新聞 朝刊14面
  • 吐山継彦・岸田かおる・永井美佳・山口洋典 2003 中間支援と人材育成:これから必要なのは市民活動プロデューサー 市民発・大阪まちづくり:多様なセクターの協働をめざして 財団法人大阪都市協会、49-58.
  • 山口 洋典 2002 多様な集合性との出会い:学習支援のための学内体制と連携 日本障害者高等教育支援センター 第2回障害者高等教育支援【交流・研究・研修】会報告レポート、43-46.
  • 山口 洋典 2002 京都の大学における障害学生支援 第7回FDフォーラム報告書:大学の教育力と学生の学習意欲の向上 財団法人大学コンソーシアム京都、185-189.
  • 内山 博史・山口 洋典 2002 ITリテラシーづくりの「場」の必要性 高齢社会における情報技術の習得と社会参加の関わりについての調査研究 シニアのITリテラシー研究会、89-105.
  • Yamaguchi, H. 2001 Work and Life as Social Entrepreneur : How Young People in Japan Think about How They Commit Themselves to Work DAWN: Newsletter of the Dawn Center (Osaka Prefectural Womenユs Center) (6), 10-11.
  • 山口 洋典 2001 京都におけるインターンシッププログラムの概要と今後の課題 NPO情報(32) 特定非営利活動法人NPOサポートセンター、2-5.
  • 山口 洋典 2000 環境への配慮を促し社会的な公正を導く地域通貨 みどりのニュースレター(83) 、環境市民、2-3.


□学会発表(発表者名、年月、演題名、学会名、場所)

  • 竹端 寛・李 永淑・山口 洋典・高橋 真央(2010年3月7日) ラウンドテーブル:21世紀におけるVoluntary Actionと社会 第11回国際ボランティア学会大会 (第3発表者として「現場への疎外・現場からの疎外」と題し口演の後、第4発表者を終えて参加者で自由討議)
  • Yamaguchi, H., Yamaguchi, N, E. 2009.12.12 Collaborative remembering and spirituality rising through an art exhibition : featuring the posthumous photographs taken by a childhood cancer patient at the 3rd anniversary of his death. 8th Annual Meeting of Asian Association of Social Psychology, Delhi, India.(Oral)
  • 山口 洋典(2009年10月12日) アートプロジェクトを通じた減災の身体性に関する一考察:宗教性と暴力性の観点から 日本社会心理学会第50回大会・日本グループ・ダイナミックス学会第56回大会合同大会 大阪大学(大阪府吹田市)(口演)
  • 西村 和代・山口 洋典(2009年10月11日) 私設公共空間による食育コミュニティの創造 :京都・さいりん館でのデシジョン・メーキング(1) 日本社会心理学会第50回大会・日本グループ・ダイナミックス学会第56回大会合同大会 大阪大学(大阪府吹田市)(ポスター)
  • 山口 洋典(2009年3月8日) メディア・アクティヴィズムによる市民の主体性の喚起に関する一考察:イタリアの社会センターの実践を中心に 国際ボランティア学会第10回大会 お茶の水女子大学(東京都文京区)(口演)
  • 山口 洋典・山口(中上)悦子(2008年6月14日) アートを媒介とした協働的実践による死生観への接近 日本グループ・ダイナミックス学会第55回大会 広島大学(広島県東広島市)(口演)
  • 山口 洋典・朝田 亘(2007年11月24日) ソーシャルアートの展開可能性:築港ARCの実践から 第9回アートマネジメント学会全国大会 大蓮寺・應典院(大阪府大阪市)(日本アートマネジメント学会第9回全国大会報告予稿集32-33ページ)
  • 山口 洋典(2007年9月7日) 多死社会における協働の視点:道具としてのエンゼルメイクの実践から 第1回ISCARアジア大会 武蔵野工業大学(神奈川県武蔵野市)(口演)
  • Yamaguchi, H., Yamaguchi, N, E., Akita, M. & Hidaka, A. 2007.7.26 Group Dynamics of editing dying stories with a temple 7th Annual Meeting of Asian Association of Social Psychology, Kota Kinabalu, Malaysia.(ポスター)
  • 山口 洋典・山口 悦子(2007年6月17日) 看取りと見送りと供養のあり方に見る協働想起に関する一考察:多死社会における新たな地域文化の創造を求めて 日本グループ・ダイナミックス学会第54回大会 名古屋大学(愛知県名古屋市)(口演) (日本グループ・ダイナミックス学会第50回大会発表論文集112-113ページ)
  • 渥美 公秀・山口 悦子・諏訪 晃一・山口洋典(2007年3月17日) ボランティア・NPOの実践と質的研究 日本NPO学会第9回年次大会 大阪商業大学(大阪府東大阪市) (シンポジウム:企画者)
  • 山口 洋典(2007年2月24日) 協働を促進する意味創出に関する一考察:京都府・インドネシアジョクジャカルタ特別区との技術交流プロジェクトから 国際ボランティア学会第8回大会 関西セミナーハウス(京都府京都市) (ポスター)
  • 山口 洋典・山口 悦子・秋田 光彦・日高 明(2006年11月4日) 看取りのグループ・ダイナミックス:臨床の死生学構築への心理学的一考察 日本心理学会第70回大会 福岡国際会議場(ポスター)(日本心理学会第68回大会発表論文集174ページ)
  • Yamaguchi, H. 2006.5.28 The Practice of community based communication-design through Non Global Businesses development 53rd Annual Meeting of Japanese Group Dynamics Association, Musashino, Tokyo.(Oral) (日本グループ・ダイナミックス学会第53回大会発表論文集180-181ページ)
  • 山口 洋典・渥美 公秀(2006年2月19日) 沙漠緑化活動のアフォーダンス:中国内蒙古自治区白二爺砂丘の7年 国際ボランティア学会第7回大会 文教大学(埼玉県越谷市) (口演)
  • Yamaguchi, H. & Atsumi, T. 2005.4 Group Dynamics of Organizing Nonprofits for Community Development in Urban Areas 6th Annual Meeting of Asian Association of Social Psychology, Wellinton, New Zealand.(ポスター)
  • 山口 洋典・渥美 公秀(2005年3月) ネットワーク型まちづくりのグループ・ダイナミックス:メタファーとしての長縄跳びの着想に見る集合流 日本グループ・ダイナミックス学会第52回大会 神戸国際会議場(兵庫県神戸市)(口演) (日本グループ・ダイナミックス学会第52回大会発表論文集20-23ページ)
  • 山口 洋典・渥美 公秀(2005年2月) NGO・NPOスタッフの教育・人材育成とマネジメント研修に関する一考察 国際ボランティア学会第6回大会 大阪大学(大阪府吹田市) (ポスター)
  • 山口 洋典(2004年10月) コミュニティ・シンクタンクの展開におけるグループ・ダイナミックス 人間環境学会第73回研究会 ひがしまち街角広場(大阪府豊中市) (招待講演)
  • 山口 洋典・渥美 公秀(2004年9月) まちづくり活動におけるネットワーキングの一考察:困っていないことに困った状況からミッション再構築しあった団体間の相互作用 日本心理学会第68回大会 関西大学(ポスター) (日本心理学会第68回大会発表論文集232ページ)
  • Yamaguchi, H. & Atsumi, T. 2004.5 Miss-transmission of the mission : Networking for community development at Uemachi Daichi, Osaka 51st Annual Meeting of Japanese Group Dynamics Association, Nagoya, Aichi.(Oral) (日本グループ・ダイナミックス学会第51回大会発表論文集126-127ページ)
  • Yamaguchi, H. & Atsumi, T. 2003.7 What is the effect and limit of local currency ? 5th Annual Meeting of Asian Association of Social Psychology, Manila, Philippines.(Poster)
  • Yamaguchi, H. & Atsumi, T. 2003.3 The environmental education effect of Eco-tour participants by situated concern 50th Annual Meeting of Japanese Group Dynamics Association, Kyoto.(Oral) (日本グループ・ダイナミックス学会第50回大会発表論文集302-303ページ)
  • 山口 洋典・渥美 公秀・新野 豊(2003年3月) 専門性あるNPO分野の人材育成:講座形式によるNPO教育のジレンマから 日本NPO学会第5回年次大会  帝塚山大学(口演)
  • 藤沢敏明・平野幸夫・溝上慎一・山口洋典・角田 収・佐藤 進(2002年11月) こんな力を育てたい、育ててほしい:真に社会に役立つ経済教育とは-学生たちの力を引き出す実践に学ぶム 経済学教育学会第18回大会 京都大学(シンポジウム)
  • 山口 洋典(2002年9月) インターンシップ成功の秘訣:NPOで学びたい学生の状況的な関心を現場はどう受け入れるか? 日本NPO学会第4回軽井沢セミナー「NPOマネジメントと教育」 ホテル・サイプレス軽井沢(招待講演) 
  • 山口 洋典(2002年5月) 地域活動から学ぶ大学環境教育:コミュニティに根ざす意味・意義 ミニシンポジウム:大学における環境教育の現段階 日本環境教育学会第13回大会 宮城教育大学(招待講演)
  • 山岸秀雄・菅原敏夫・服部崇・山口洋典(2002年3月) NPOの雇用創出効果 日本NPO学会第4回年次大会 明治大学(パネルディスカッション)
  • 山口 洋典・新野 豊(2002年3月) 社会起業家育成による問題解決ネットワークの構築:コミュニティ・ビジネス&サービスに着目する意味・意義 日本NPO学会第4回年次大会 明治大学(口演)
  • 佐藤 洋作・脇本 靖子・佐伯 昌和・山口 洋典・杉本 貴志(2001年10月) 現代の若者と協同 日本協同組合学会第21回大会 池坊短期大学(シンポジウム)
  • 山口 洋典(2001年5月) 市民活動拠点施設における地域通貨発行による環境教育効果:地域内のつながりの実感による環境への配慮と意識の高揚 日本環境教育学会第12回大会 信州大学(口演)
  • 山口 洋典・山岸 秀雄・田村太郎・井出朱美・新野豊(2001年3月) 大学とNPO 日本NPO学会第3回年次大会 キャンパスプラザ京都(パネルディスカッション・モデレーター)
  • 山本 正雄・山口 洋典(2001年3月) 地域通貨とまちづくり:滋賀県草津市の地域通貨「おうみ」の実践 日本都市計画学会関西支部平成12年度第2回都市計画講演会 大阪市立大学文化交流センター(招待講演)
  • 池田 直樹・塩川 哲雄・柳楽 忍・山口 洋典・戸田 耿介・原田 智代(2000年12月) 社会的公正と自然環境の持続性に向けた環境教育の展開をめざして 日本環境教育学会関西支部第9回研究大会 京都精華大学(シンポジウム)
  • 山口 洋典(2000年9月) NPO連携大学院構想をめぐって:大学コンソーシアムの成果と課題 日本NPO学会第2回軽井沢セミナー「NPO教育と人材育成」 ホテル・サイプレス軽井沢(招待講演) 
  • 中村 陽一・妹尾 章子・山口 洋典(2000年6月) 根ざす:循環する知・回復する生 日本ボランティア学会2000年度年次大会 滋賀県立大学(シンポジウム)
  • 山口 洋典・笹谷 康之(2000年5月) 市民活動拠点施設における地域通貨発行による環境教育効果:地域内のつながりの実感による環境への配慮と意識の高揚 日本環境教育学会第11回大会 信州大学(口演)
  • 山口 洋典(2000年3月) 地域通貨を用いたコミュニティ活性化とボランティア活動の評価 日本NPO学会第2回年次大会 大阪大学(口演)
  • 山口 洋典・笹谷康之(1999年5月) コーオプ型のインターンシッププログラムの推進による大学環境教育の実践 日本環境教育学会第10回大会 東京学芸大学(口演)
  • 山口 洋典(1999年3月) NPOインターンシッププログラムと学生の学び観 日本NPO学会第1回年次大会 慶應大学(口演)
  • 山口 洋典・桐山 洋一郎・藤岡 惇(1998年11月) 人生の意味を探る旅:被爆地で世界の学生と平和創造の道を探った経験 経済学教育学会第14回大会 早稲田大学(パネルディスカッション)
  • 山口 洋典・笹谷康之(1998年5月) 市民活動による環境教育の環境づくり 日本環境教育学会第9回大会 大阪教育大学(口演)
  • 山口 洋典・古守 将也・笹谷 康之(1997年10月) 環境アクション支援のためのホームページ作成について 第25回土木学会環境システム研究論文発表会 中央大学(口演)
  • 山口 洋典(1997年10月) COP3に向けて学生は何を準備しているか? エントロピー学会関西セミナー 同志社大学(招待講演)
  • 山口 洋典・笹谷 康之(1997年5月) まちづくりにおける環境教育の環境  日本環境教育学会第8回大会 横浜国立大学(口演)

 

□研究助成金等(種類、課題名、分担、年度)


  • 科学研究費補助金 特定研究領域研究(計画研究) 課題番号: 18078003「居住文化育成の視点からみた持続可能な都市・地域デザイン-関西圏を中心として-」(代表者:高田光雄/京都大学大学院) 研究分担者、平成18-23年度(平成19年度より参加)
  • 科学研究費補助金 基盤研究(B)(海外調査) 課題番号:18402038「非営利民間放送の持続可能な制度と社会的認知 コミュニティ放送のモデルを探る」(代表者:松浦さと子/龍谷大学経済学部准教授 ) 研究分担者、平成18-21年度(平成19年度より参加)
  • 大阪ガス株式会社エネルギー・文化研究所:地域資源データベースを活用した地域コミュニケーションデザインに関する調査研究委託~「上町台地.cotocoto」の利活用を通じた地域ガバナンスを見据えて~、研究共同代表者(同志社大学大学院総合政策科学研究科准教授として)、2006-2007

  • 大阪ガス株式会社エネルギー・文化研究所:都心集合住宅を活用した地域コミュニケーションデザインに関する調査研究委託~Community Social Responsibilityとしての地域コミュニケーションデザインとその可能性、委託研究事業担当者(財団法人大学コンソーシアム京都研究主幹として)、2005-2006
  • 大阪ガス株式会社エネルギー・文化研究所:上町台地界隈におけるコミュニティ・ビジネスの現状と可能性に関する調査研究委託~Non Global Business(NGB)としてのコミュニティ・ビジネスとその可能性、委託研究事業担当者(財団法人大学コンソーシアム京都研究主幹として)、2004-2005
  • 京都市産業観光局商工部商業振興課:京都市都心部における買い物を目的とした公共交通利用の実態、委託研究事業担当者、2005-2006
  • 京都市産業観光局商工部商業振興課:地域連携型商業振興モデルの構築に関する調査研究:文系産学連携による商業振興の可能性、委託研究事業担当者、2004-2005
  • 京都市産業観光局商工部商業振興課:京都市商業の未来上に関する調査研究、委託研究事業担当者、2003-2004
  • 宇治市「産学官連携システム調査・研究」(調査担当事務局)、2004-2005
  • 文部科学省大学共同利用機関メディア教育開発センター:メディア教材の開発支援に関わる一般公募、 WEBアクセシビリティの理論と実践、代表制作者、2003
  • 京都府企画環境部企画参事:調査研究業務委託(受託:財団法人大学コンソーシアム京都)、加茂町コミュニティビジネス展開調査、代表研究者(調査設計・分析及び調査員コーディネートならびにコミュニティ・ビジネス概論文献調査)、2001
  • 財団法人21世紀ひょうご創造協会:自主調査研究、高齢化社会における情報技術と社会参加、共同研究者(高齢者と情報技術の習得)、2001
  • 京都市総合企画局パートナーシップ推進室:調査研究業務委託(受託:特定非営利活動法人きょうとNPOセンター)、市民活動情報システム整備検討調査、共同研究者(インタビュー調査及び分析)、2001
  • 財団法人トヨタ財団:研究助成、NPOセクターにおける人材育成プログラムの開発研究、共同研究者(環境・まちづくり分野の団体間ネットワーク構築とプログラム開発)、1998


□新聞報道等


  • 朝日新聞 2008.3.30 自由な創作 育む風 関西芸術会議シンポ「今、関西のアートがおもしろい!?」 9面
  • 京都新聞 2007.8.24 今こそ地域力再生 相互補完の関係づくり必要 
  • 産経新聞 2009.11.24 住民の息遣いが聞こえる街を:「上町台地からまちを考える会」事務局長 山口 洋典さん(29) おおさかを創る 産経新聞 大阪市内版 27面(大総合) (薮崎 拓也)


□所属学会ならびに学会活動


    所属学会

    • 日本グループ・ダイナミックス学会(平成14年〜)
    • 国際ボランティア学会(平成14年~)
    • 日本心理学会(平成15年~)
    • 日本アートマネジメント学会(平成19年~)
    • 日本都市計画学会(平成12年~)
    • 日本NPO学会(平成10年~)
    • 日本環境教育学会(平成9年~)
    • 日本環境教育学会関西支部(平成9年~)


    学会活動

    • 平成12年4月 日本NPO学会 NPO研究・教育ネットワーク形成事業 NPO教育研究会 委員(~平成13年3月)
    • 平成12年5月 日本NPO学会 2000年度大会(第3回大会) 運営委員(~平成13年5月)
    • 平成14年5月 日本グループ・ダイナミックス学会 第50回大会 事務局員(~平成15年3月)
    • 平成14年6月 日本NPO学会 NPO教育・研究推進モデル事業 検討部会 メンバー(~現在に至る)
    • 平成16年4月 日本NPO学会 NPO辞典プロジェクト メンバー(~現在に至る)
    • 平成18年5月 日本NPO学会 2006年度大会(第9回大会)運営委員会(~平成 19年3月)
    • 平成18年10月 国際ボランティア学会 2006年度大会(第8回大会)大会委員長(~平成 19年2月)
    • 平成19年1月 日本アートマネジメント学会全国大会 2007年度大会(第9回大会)運営委員会事務局長(~平成19年12月)
    • 平成20年4月 国際ボランティア学会理事・「ボランティア学研究」編集委員長


    2005年1月1日、.Mac上に開設、7月7日、Bloggerに以降。
    2010年4月9日更新。

    2006年2月19日日曜日

    20060219国際ボランティア学会発表

    山口 洋典・渥美 公秀(2006年2月19日) 沙漠緑化活動のアフォーダンス:中国内蒙古自治区白二爺砂丘の7年 国際ボランティア学会第7回大会 文教大学(埼玉県越谷市) (口演、発表予稿原稿)

    沙漠緑化活動のアフォーダンス:中国内蒙古自治区自二爺砂丘の7年

    山口洋典(財団法人大学コンソーシアム京都)
    渥美公秀(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター)

     沙漠緑化活動は外部参入者と共に取り組まれる協働的実践である。この間、われわれ(山口ら, 2003)はエコツアー参加者と現地スタッフとの協働的実践の動態に着目してきた。今回、沙漠緑化の完了を迎えつつある中、アフォーダンスという概念から活動の意義を探る。

    1.ローカルな関心で臨むローカルな実践としての沙漠緑化
     エコツアーはグローバルな枠組みで捉えられがちであるが、その参加者はあるローカルな環境に身を置いているにすぎない。そして、参加者は何かを学びに生き、何かを学んだとして再び日常生活に戻ってくる。環境教育の見地では、これを「環境を通しての教育」と位置づけている。しかし、(地球)環境問題が深刻化している今、「環境のための教育」(Fien, 1991)の必要性が示されている。
     とりわけ、物事への関心の「感覚化」が進む現代の若者たちは、状況的関心によって、物事への実感(リアリティ)を求めて物事、出来事に触れていく(中村, 1997:山口ら, 2003)。よって、エコツアーの企画側の演出の如何が、参加者の物事への関わりの度合い(いわゆる「ノリ」)を左右する。言うまでもなく、事前、実施中、事後と、すべての過程で演出が必要とされる。
     一方、自らが立てた問いを解明するために体系的な関係性を重視する参加者もいる。こうした参加者は社会人に多く、一定の経験を積んでおり、物事への精確な理解を求めて物事、出来事に触れていく。われわれ(山口ら, 2003)は、こうした構造的な関心でエコツアーに参加する社会人よりも、「ある時間的、空間的状況において自らの身の置き所を感覚的に位置づけ、集団における共同性を重視する」学生ボランティアたちを中心に、沙漠緑化の協働的実践に携わってきた。
      本発表は、中国内蒙古自治区の沙漠緑化に、「生真面目さ」よりも「好奇心」旺盛に関わってきた学生ボランティアたちと、現場スタッフと、さらには外部参入者としての研究者らの協働的実践が、いかにして沙漠緑化の完了を導いてきたかを、アフォーダンス(例えば、後藤ら, 2004)の観点から探る。そして、「環境のための教育」があるローカルな実践の現場での問題解決に資するべき、という観点から、状況的な関心で物事、出来事に携わる学生が問題解決に貢献できるにはどうすべきかについて、実践的な提言を行う。

    2.7年の経過
    (1)沙漠緑化プロジェクトの概要
     われわれが研究の対象とする沙漠緑化プロジェクトは、内蒙古自治区ホリンゴル県の南部に位置する自二爺(バイアールイエ)沙丘内の2000aの流動砂丘地帯で行われているものである。バイアールイエ沙丘は、区都である呼和浩特(フフホト)から約80km西の、黄河中流域の黄土丘陵地帯に属している。海抜1100〜1400mに位置し、ホリンゴル県内で風水害による土壌流出や沙漠化の被害が最も深刻な地域である。元来、バイアールイエ沙丘周辺部は牧草地であったが、現在は土壌流出にさらされている面積は8000haに至っている。最も沙漠緑化が進行した際には、8000haのうち5700haが流動砂丘と半流動砂丘となっていた。これらの状況が導かれたのは近年の無秩序な農業開発と過放牧によるとされている。本プロジェクトはそれらの地域を緑地化し、持続可能な循環型農牧業を開発、定着させるために地元集落を支援することが目的である。なお、当該地域に日本人が関わっていく経緯等は山口ら(2003)に示した。

    (2)終結しえないプロジェクトとしての沙漠緑化
     現地においては中国共産党のホリンゴル県委員会と県の人民政府が1982年より緑化活動を開始している。われわれが参与観察を行ってきた団体(エコスタイル・ネット)は、こうした現地の取り組みと協力しながら、流動砂丘の緑化に取り組んできた。事実、日本人スタッフと現地スタッフとともに、7年のあいだに防風林としてポプラを6万本、柳を5万本植樹し、牧草の種子3tを播種してきた。この結果、全体の1/3程度の面積(約700ha)で、流動砂丘がほぼ完全に固定化され、多くの草花や木が砂地を被覆するまでになっている。
     緑化活動に携わった人々の中には、一旦緑化された地域を放牧地に戻すのではなく、そのまま緑化「された」地として保存を望む場合もあるこれは沙漠として現前する土地を緑化することに関心が集中するためである。しかし、現地の人々は戻った土地の活用を望む。そこで、日本から現地に参入した「よそ者」のスタッフは、現地の生活者との対話をとおして、過放牧によって沙漠へと導かれた土地を、いかにして維持、発展させていくことができるかという視点を投げかけてきた。具体的には、現地住民と共に、「入会地」(コモンズ)の展開を試みてきているのである。

    (3)保存から保全のダイナミックス
     7年間の実践を経て、近年現地に行くエコツアーの参加者は現地を見ると「これが沙漠?」と驚く。エコツアー参加者は、訪問時に現地にて実際に行われている緑化作業と同じ内容を体験する。緑化の初期(2〜3年)は防風林をつくるためにポプラを上、その後(2〜3年)は値の張りやすい柳を植え、現在(2年程度)はマメ科の植物の種を蒔いている。再び参加者たちは、沙打旺(サダワン)と楊柴(ヤンツァイ)、檸条(ニンテャオ)などの種を砂地の地面に(ただ)蒔くという作業に「それで沙漠が緑化されるのか」という疑問を抱く。しかし、これが1998年から続けてきた沙漠緑化活動のリレーの賜物である。緑化をするために意気込んで参加した方であれば、「これが沙漠?」と感じるくらい、現場では着実な成果が出ている。こうして緑化されてきた土地をそのままに保存するのではなく、どう活用していくかの保全の視点が要請される。

    3.沙漠緑化活動とアフォーダンス
    (1)沙漠緑化を推進せしめるもの
     こうして、沙漠緑化活動を推進せしめたものは何か。最も大きいのは、沙漠ではなかった土地が沙漠になったという視角で認識される事実であろう。ただし、そうした状況を打開するために、中国政府、さらには日本からの外部参入者が現地住民となって関わったことが大きいのではないか。このことは、鳥取県智頭町の地域活性化の事例(例えば、岡田ら, 2000)で示された「ハビタント」による知の流入がもたらす影響からも明らかである。
     沙漠緑化を推進せしめる最も大きなことは、外部参入者が現地住民になっていくことによって、「ほっとけない」当事者意識である。山口ら(2003)では、共著のひとりとして現地住民でありスタッフが参加しているが、自らが現場に入っていった経験を踏まえて、いかにして国際ボランティア(ここでは、異国の地からわざわざ訪れる学生)が満足し、現地の人々も心地よくその風景にふれることができるかが語られている。エコツアーの参加者も、また現地住民となって沙漠緑化に取り組む人々も、「ノリ」よく活動に関わっていく背景には、見知らぬ地で、匿名性の高かった自分自身が何らかの役割を果たしたという実感によるところであろう。このことを、「アフォーダンス」の視点から見てみることにしよう。

    (2)アフォーダンス
     「アフォーダンス」とは、Gibson(1979)が提唱した概念で、行為者とモノのとの間の行為に関する絶対的な関係を指す。日本で多くの書物を著している佐々木正人は、は、後藤ら(2004)の著作で、ミーディアム(媒質)、サブスタンス(物質)、サーフェイス(表面)といった環境を行使する要素について平明な解説を行いながら、「異種混合体」が存在することで、環境に表出される「肌理
    (texture)」の構造が発見されると述べている。マクドナルドという空間(ここでは媒質)は、ゆっくり食事をし、会話を楽しもうとする人にとっては適切な環境ではない。椅子(固い)、音楽(うるさい)、などといった肌理の構造が、目的達成をアフォードする(便宜を与える)ことはないためだ。「青フォーダンス」とは「肌理の構造」であると捉えてみると、プロジェクト型による問題解決の実践においては、ある状況に身を置く人を想定した「行為と相即するデザイン」(後藤ら, 2004)がなされるかどうかが、結果を左右すると言える。何かに取り組む上で、その人がその行為に「はまる」(後藤ら, 2004)か否か、それはある物事、出来事に関わる意味を自らが創出しうるかどうかにかかってくる。プロジェクトの事務局には、こうした「はまる」ための制度設計と雰囲気づくりが求められる。無論、エコツアー参加者や現地住民が満足するためには事務局だけがデザイン(ここでは、作業内容の組み立て等)に取り組むのではなく、その場にいる人たちの集団的即興ゲーム(渥美, 2001)がなされる必要がある。

    4.沙漠緑化活動のアフォーダンス
    (1)相互に行われる顕彰(recognition)
     7年間の活動で沙漠地の緑化が導かれたのは、「肌理」の細かい取り組みが誘発される環境が導かれたことによる。特に、現場において相互に顕彰しあう習慣が生まれたことは、プロジェクトに「はまる」多くの人々を生み出してきた。プロジェクトの開始当初は未解放区であった土地に、エコツアーと称して訪れる日本人は約200名にのぼる。そのうちリピーターが30名程度いることは、現場に貢献したいという自発性が喚起されたことによるだろう。こうした、「いてもたってもいられない」という、ボランティア語源に沿った行為は、2004年夏には、現地住民から日本人スタッフへの感謝の意を表した記念品と記念碑の贈与という形でも見出されている。言うまでもなく、こうした相互の検証が、現地住民、外部参入者であったスタッフとしての現地住民(あるいは現地住民としてのスタッフ)、そしてエコツアーの参加者(研究者等を含む)の協働的実践を促進し、新たな自発的行為を誘発する契機となる。

    (2)次の一手の検討と実践(feed forward)
     地表の緑化を段階的に導き出してきたなかで、必要とされるのは「フィードバック」ではなく「フィードフォワード」である。放牧地に「ただ」戻すだけではなく、改めて放牧地になったところをどうしていくのか、次の一手が必要とされる。その際、エコツアー参加者が思わず現場に寄与する機会が、日本に帰国する直前の夜、北京の宿泊地にて夜通し繰り広げられる反省会にて導かれる。学生がこの経験を今後どう活かしていくかの決意表明とともに、現場に対する率直な感想や要望がスタッフに伝えられる。その後、スタッフも学生も、議論した内容に思いを馳せながら、それぞれの日常に還っていくのである。
     沙漠緑化の完了を間近に控えるなか、プロジェクトのフィードフォワードの一環として、インターローカルな実践が始まりつつあることにも触れておく。それは、中国社会科学院等を媒介にして、先述した鳥取県智頭町とバイアールイエとの相互訪問が始まりつつあるということだ。日本に留学していた中国社会科学院の研究者と、日本の研究者、さらには両方の事情に通じている実践家たちが中心となって、それぞれの経験知が贈与され、同時に略奪されていく。この、両方が了解を求めることなく意味創出を行っていく相互交流の機会が、結果として次の一手を指すこと「入会地としての活用」をアフォードしていると言えよう。

    引用文献
    渥美公秀 2001 ボランティアの知:実践としてのボランティア研究 大阪大学出版会
    Fien, J. 1991 Education for the Environment. Deakin University.(石川聡子他訳 環境のための教育 東信堂、2001)
    Gibson, J. J. 1979 The ecological approach to visual perception. (古崎敬他共訳 生物学的視覚論:ヒトの近く世界を探る サイエンス社、1985)
    後藤武・佐々木正人・深澤直人 2004 デザインの生態学:新しいデザインの教科書 東京書籍
    中村正 1997 学びのハビット(習慣) 立命館教育科学プロジェクト研究シリーズ、VIII 立命館大学教育科学研究所、79-91.
    岡田憲夫・杉万俊夫・平塚伸治・河原年和 2000 地域からの挑戦:鳥取県・智頭町の「くに」おこし 岩波ブックレット
    山口洋典・増田達志・関嘉寛・渥美公秀 2003 エコツアーにおける環境教育の効果 ボランティア学研究(4)、53-81.

    山口 洋典・渥美 公秀 2007 沙漠緑化活動のアフォーダンス:中国内蒙古自治区自二爺砂丘の7年 国際ボランティア学会第7回大会発表予稿集、pp.40-41