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2022年12月31日土曜日

海よ

2022年をもって、加山雄三さんがコンサート活動から引退されるという。2022年12月17日のフジテレビ系「MUSIC FAIR」では、「海 その愛」をスタジオで歌われた。加山さんと言えば、歌以外にもピアノやギター、さらにはヨットやスキーのスポーツにも長けたことで知られている。ただ、脳梗塞をはじめとする病気の影響で、ギターを手にしての歌唱は、既にこの数年、行えていなかったようである。

2022年、年始早々に父を見送った。1月3日の朝、10時8分の新幹線で実家に帰省する予定としていた、その日の朝の出来事だった。朝食後に自宅での発作の後、搬送先の病院で死亡が確認されたのである。あいにく、最期のときには間に合わなかったものの、救急外来からの搬出には立ち会うことができた。

2018年8月の脊柱管狭窄症の発症以来、入退院を繰り返していた父ではあったが、同居していた母にとっても突然の別れとなった。そのため、いわゆるグリーフサポートも含め、例年以上に実家に帰省することが多い1年となった。遺品の整理をする中で、2019年4月1日の日付で、自分史が作成されていたことも知った。あまりに多くの品が手つかずで遺されていたことから、父もまたこのタイミングで人生を終えるとは思ってはいなかったと想像するものの、どこかで自らの歩みを振り返り、死への準備を整えようとしていたのだろう。

11月20日、浜松市役所からいただいている仕事の際に実家にも立ち寄ることにし、幼少の頃から幾度となく足を運んだ鮫島海岸を訪れた。実家からは車で15分ほどだが、40分ほどかけて自転車で向かった思い出が色濃く残っている。また、夏には氏神さまである府八幡宮の秋の祭典を前に、浜垢離と呼ばれる神事が行われ、弟も含め、砂浜で父と相撲を取った記憶もある。 そこで、2023年の新年が喪中であることをお伝えする葉書に写真を添えようと、父との記憶に思いを馳せながら、水平線へと沈んでいく太陽が映る水面に目を向け、寄せては返す波の音に耳を傾けたことが、意外にも2022年の深い思い出の1つとなっている。

「むなしさ ふところに抱き寄せて 忘れさせるのさ やすらぎをくれるのだ」
(岩谷時子・詞「海 その愛」より)
<Leica M9P, Summicron 35mm, f/13, 1/4000, ISO400>