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2014年5月15日木曜日

あーせい、こーせい。


チラシの校正を頼まれた。スタッフの分業によって事業は進んでいくため、作り直したくなる衝動を抑え、色ペンで細々と書き込んでいった。こうしたとき、決まって気になるのはデザインよりも、レイアウトである。上下左右の揃えの不統一、同一書体による単調な文面、表記のぶれ、バランスの悪さを指摘し始めると、枚挙にいとまがない。

今でこそ作成機会が減ってきたが、私なりにチラシにはレイアウトの作法を置いている。フォントは3種類、横書きが中心でも縦書きを1箇所以上使う、縦横半分に折っても成立する、この3点である。そのため、A4のチラシだと、148.5mmと105mmにガイドを引いて、そこからパーツを置いていく。決して左上から始めるとはしない。

これはレポートの書き方でも同じなのだが、特にMicrosoft Wordなどワープロソフトで文書を作成する際に、左上にカーソルが点滅した状態から全てを始める人がいる。これは大変不幸なことである。画家がキャンヴァスを前に「うーん」とうなるように、どこから手を付けかにこそ、考えることの楽しみがあるのではなかろうか。

もともと建設・環境・土木系の学部で学んだためか、はたまた親が輸送機械メーカーで働いていたためか、模型づくりや試作を重ねることが大事なのだと骨身にしみている。最近はチラシなどの作成に対しては料理の比喩を用いることにしており、「素材選び」、「下ごしらえ」、「調理」、「味見」、「盛りつけ」、「試食」という流れを説明し、企画書を書き、その内容に関連する写真やフォントを選び、レイアウトをした上で、印刷して原寸でチェック、そしてデザインの詰めを行って、校正という段取りに理解を求めている。ただ、こうして思索を巡らすことが試作、などの駄洒落をついつい重ねてしまいたくなる。そんな印象の方が先に立って、一連の流れを経験知として身につけてもらいにくいのかも、などと思うのであった。