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2013年10月6日日曜日

まちとの距離を思う秋

慌ただしい一日だった。昨日から岡山駅西口そばの国際交流センターで開催されている、日本福祉大学通信教育部のスクーリングにお招きいただいたため、午前中は岡山で過ごした。テーマは「地域再生」で、應典院を事例に、いつもの(ユーリア・エンゲストロームによる「活動理論」を下敷きにした)「ロール」と「ルール」と「ツール」づくり大切、という話をさせていただいた。まちづくりに引きつける必要があったのだが、「まつりづくり」などと、少々言葉で遊びながらの講演と質疑応答となった。

2011年9月18日の大阪スクーリングに続いて、今回もまた、日本福祉大学の雨森孝悦先生の縁による出講となったため、昼食をご一緒させていただいた。その間、別の機会でお会いすることはなかったのだが、年齢をお聞きして、驚いた。その一方で、「この年になると、変わらず、つつがなく過ごすことができるだけでありがたい」というようなことは、まだまだ言えそうにないと実感した。まだまだ、あまちゃんな私である。

午後は京都に移動して、キャンパスプラザ京都の6階で開催の立命館大学人文科学研究所「グローバル化とアジアの観光研究会」に参加した。月1回、共通教育総合センター会議でご一緒させていただいている藤巻正己先生からのお誘いで、である。実はこの研究会で話題提供をされた タマサート大学(Thammasat University)のカンナッパ先生(Dr. Kannapa Pongponrat)とは別の経路から連絡をいただき、10月8日の朝にヒアリングを受けることになっている。ご所属は「College of Innovation」というから、さしずめ「イノベーション学部」となるが、東日本大震災とボランティアツーリズムについての研究のため、京都大学の支援を通じて、今秋から2年がかりの研究を展開するという。岡山からの移動の都合で、第一発表者の依田真美さん(北海道大学)がまとめの話をされているときに入室することになったのだが、後半のディスカッションでは(若干予想をしていたのだが)藤巻先生から指名を受け、コメントをすることになった。

かねてから、言葉のあいだに前置詞を入れて概念に迫ることにしている私は、まず「ボランティアツーリズム」の2語のあいだにどのような言葉を入れるのがよいのか、と考えて、ツアーのホストとゲストとの関係から「ボランティアによるツアー(ホストがボランティアのツーリズム)」と「ボランティアとしてのツアー(ゲストがボランティアのツーリズム)」の違いを指摘した。そして、ボランティアに行きたいという衝動(いわゆる動機尊重モデル)と、ボランティアを続けたいという衝動(これを動機づけ尊重モデル、とでも言うことにしよう)の両方に関心を向けることで、ボランティアの関心を利己的・利他的の2つに区別しなくても済むのではないか、と示した。また、東日本大震災では発災直後に「(まだ)ボランティアには行かなくてもいいんですよね」という、付加疑問文の形式で「現地のため」を御旗に自己完結した判断への承認が求められることが多かったことを伝えた。何より、復興やまちづくりに効率性が求められるのは妥当ではない、そうしたことは言うまでもないのだが、はからずもこの土日が地元(実家)の秋のお祭りであることを思うと、少しだけ切ない思いを抱きつつ、(京都の)家路へと向かった。