今日は朝から「言えない会議」をある場所で行っていた。あるまちの、ある施設の指定管理者を選定する、という会議である。こちらは透明性よりも公正性を重視し、選定の後に議会で可決されるまで、委員の名前等も含めて非公開とされているのである。少なくとも、あるまちのある施設の指定管理者に就いていることをここに記しつつ、小泉内閣の時代に生まれたこの制度が、競争的環境のもと経済的な合理性を徹底的に追求していくことが「いい行政」なのではない、という主義を抱きながら選定にあたっていく決意を固め(なおしてみ)ることとしたい。
9月に入って雨が続いているが、今日の関西は、格別の豪雨に見舞われたように思う。今日は應典院にて9月25日から行われる写真展の下見が入っていたのだが、遠方から来られる皆様には足元の悪い、あいにくの環境となった。ちなみに展示する写真を撮られた方は、御年92歳である。今回は1984から1993年までに撮影された西トルキスタン、インド、ネパール、マチャプチャレ、アラスカ北極圏、アンナプルナ、サハラ砂漠、ラダック、エベレスト、ビスターリ、インカ、チチカカ湖、ギアナ高地、東アフリカの風景、30点あまりが展示されるとのことだ。
雨となって残念だったのは、夕方から、cocoroomの上田假奈代さんによる、釜ヶ崎界隈のまち歩きが行われるためであった。よって、傘をお供に歩くこととなった。これは大阪ガスのエネルギー・文化研究所の弘本由香里さんが主管しておられる、上町台地コミュニティ・デザイン論研究会の活動の一環で、同志社大学の新川達郎先生、京都大学の高田光雄先生、京都精華大学の筒井洋一先生らと共に、多様な視点からまちを見つめた。かつては200軒ほどあったドヤが80軒ほどになり、高度経済成長を支えた方々の「終の棲家」化となる中で、「サポーティブハウス」として性格づけがなされてきたこと、その一方で地域での暮らし方が施策に翻弄されること、加えて事業者も「多様なパートナーと共に支える」場合と「自社の系列の事業者で囲い込む」場合とのあいだで支援の透明性が左右されること、など、風景の中に身を置きながら、それぞれの日常生活の背景を解いていただくことで、一人ひとりの人生を支えることとの難しさに改めて直面する機会となった。
その後は、地下鉄動物園前駅から、大阪ガスビルに向かい、長らく神戸で地域力、市民力、場所力を重視したまちづくりを進めてきた小林郁雄さんを招いて、お話を伺った。今回お話をいただいた内容は、近刊の『地域を元気にする 実践!コミュニティデザイン』にその大要が収められるとのことだが、水谷頴介さんを師と仰ぐ方々の「自律と連帯」の強さを、「まち住区」というキーワードをもとに展開された各種の実践から、深く感じ取るところであった。ちなみに、小林さんによれば、「自律というのは、ネットワークして始めて自律に意味がある」のであり、「自律していないものをネットワークしても、有象無象が集まっているだけ」であるため、「それぞれがちゃんとしているから連帯する必要があるし、連帯して意味があるのはそれぞれが自律しているから」「自律と連帯は同じ概念を表と裏から語っているだけ」とのことである。終了後の懇親会でも、最近の乱立する「ワークショップ」に対して「町医者に予防接種ばかりさせて小銭稼ぎをさせているのでは?」と、なかなか辛辣な指摘をされるなど、阪神・淡路大震災のずっと前から地域に根差してきた方ゆえの、まちづくりの「同音異義」を紐解く貴重な場をご一緒させていただいた。