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2014年1月16日木曜日

多く動く性分


「お前は多動だ」と、よく言われる。もっとも、私がこどもの頃はADAD(Attention Deficit / Hyperactivity Disorder)という概念がなかった。2000年にアメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)が定めた「精神障害の診断と統計の手引き(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders」の第4版修正版(Text Revision of the DSM-IV:DSM-IV-TR、第4版は1994年に発表)によると「行動障害」らしい。また、2009年に亡くなった米国の精神科医、レオン・アイゼンバーグ(Leon Eisenberg)は、ドイツの週刊誌「Der Spiegel」(英語に翻訳すると「The Mirror」となるようだ)のインタビューで、「ADHS ist eine fabrizierte Erkrankung(英語に翻訳すると「ADHD is a fabricated illness」)と述べており、精神医学の世界においては製薬会社が主導して「fabricated(でっちあげ)」が行われていると、増大化する社会的コストに注意を喚起した(記事中では「Die genetische Veran- lagung für ADHS wird vollkommen über- schätzt」とあり、英語に翻訳すると「Genetic tax assessment for ADHD is completely over-estimated.」となる)。

もっとも、多動性をどのような障害として分類するかの議論とは別に、多くの不注意が思わぬ出来事を引き起こすことは確かである。実際、今日は朝からパソコンを分解しなければならなくなった。不注意によって、水分が筐体内に流入したためである。あわせて、ナイロンのサイフを洗い、鞄を水切りしなければならなくなった。コーヒー好きがたたっての結果なのだが、その誘因は不注意による。

別のコンピュータで見たところ、幸いにしてデータは完全に読み取ることができたので、読み込みができているうちに別のドライブにコピーし、今日も應典院のコモンズフェスタへ向かった。今日は真宗大谷派の僧侶、川浪剛さんの企画で「母が性職を選ぶとき」である。今、長く釜ヶ崎で活動してきた川浪さんは、東日本大震災で「フードバンク」という取り組みに携わったことで、改めて貧困に対する福祉資源のコーディネートに取り組む準備を進めており、本企画もその一環に位置づけられる。企画趣旨には「母子家庭が増えている中で、母親が性職を選ばざるを得ない状況を生み出している原因は何なのか。また、彼女たちの就労支援や食糧支援のあり方を考えます」と綴られた。

今日のゲストはセックスワーカーであったことをカミングアウトするBUBUさんで、現在は行政機関のワーカーとしても女性・母親の支援に携わっていらっしゃる。研修室Bの椅子が足りなくなり、パイプ椅子で増席をする程のご参加をいただいたのだが、BUBUさんからすると「そうして注目されるということが複雑」とのことで、実際、質問で寄せられる「セックスワークという職業に就いていたときの印象」を尋ねられると「一人の発言が全体の代表と政治的利用されてきた」ことへの憤懣が、やさしい口調で語られた。ともあれ、会場の方々を交えて、多くの言葉が交わされた2時間の最後、BUBUさんが「マイノリティの方においやってきた世界では、自分がしたいことをするのではなく、相手がしてほしいことをすること、つまり、いかに相手を尊重できるかが支援」が大切と語られた。そして、「ホームレスにやさしい社会か、ホームレスを生み出さない社会か」ではなく、「ホームレスという生き方を否定しない」で、異なる価値観に寄り添って「生きるを支える」ことが大切(この点で、長生きを支える延命治療と生命倫理の問題に議論が及ぶが、今回は立ち入らない)とまとめた川浪さんの言葉に、かねてより「支援」ではなく「支縁」と訴えてきた願いの根を見た気がしている。