かつて、初日の出にこだわった時期もある。中学生の頃には自転車で海岸(磐田市の鮫島海岸)に向かい、友人たちとたき火をして朝を迎えたこともある。高校生に入ると、1年生のときの担任の先生(地理の長谷川豊先生)の見立てのもと、友人3人で京都に向かい、年越し蕎麦を南座横にある松葉でにしんそばをいただき、知恩院での除夜の鐘と八坂神社での初詣をし、帰りは新幹線の車内で初日の出を迎える、という小旅行をした。COVID-19によるステイホームの影響というよりも、年を重ねて好奇心が落ちているのかもしれない、と懐かしい思い出に浸る正月である。
一方、元日の法然院での法話で、應典院在職中の取り組みを懐かしんでいる。年末に岸井大輔さんからのお誘いで、12月25日に、2011年から数年にわたって應典院でのコモンズフェスタの恒例事業の一つになっていた24時間トーク「如是我聞」のオンライン開催に参加させていただいたことも影響しているだろう。2006年に應典院に着任して早々、2003年で一旦休止としていたコモンズフェスタを、お寺を舞台にした総合芸術文化祭として再開することとし、2006年10月1日から31日まで、毎日必ず何らかの事を起こす、という企画を事務局主導にて実施した。事務局主導で5年続けた後、東日本大震災を経て、お寺を開くということはお寺の側の姿勢によるところであるが、開かれ続けるにはお寺に足を運んでくださる方々がいてこそである、と捉えて、実行委員会形式で企画・運営された第1回目(1998年)への原点回帰を図ることとした。
印象深いのは2010年度、事務局主導で行った最後の回にあたる2011年1月の開催分である。このときは「onとoffのスイッチ〜私をひらく6つのチカラ」というテーマを掲げ、「スイッチ」というメタファーのもと対義語を提示(記憶のチカラ:想起と忘却のスイッチ、語りのチカラ:発話と傾聴のスイッチ、誓いのチカラ:拘泥と刹那のスイッチ、場所のチカラ:開放と閉鎖のスイッチ、型式のチカラ:継承と創造のスイッチ、身体のチカラ 作動と停止のスイッチ)することで思考と行動のモードチェンジへの手がかりを探るという趣向とした。パンフレットのPDFがサーバーに残っているので今でも誰かの目に触れていただけていることが有り難い。そんな具合にお寺での仕事と暮らしを思い出したこともあって、日想観よろしく夕陽に目を向けてみた(が、思い立ったときには既に日没となっていた)。
2021年1月2日、17:20、京都市上京区より南西方向を望む。
(Nikon D40, NIKKOR DX40mm, f2.8, 1/15, ISO400)