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2009年3月27日金曜日

ライバル関係

20090326.jpg 應典院寺町倶楽部のニューズレター「サリュ」60号のインタビューでお世話になった方へのお礼を込めて、ランチをご一緒させていただいた。行き先は應典院から程近い、まちの洋食屋さんである。今後もお使いいただけるようにと100部をお渡しさせていただいた。第三者がとりまとめさせていただいたご自身のライフヒストリーを、ご本人に楽しんで読んでいただけると、編集者としての喜びもひとしおである。

 今回はランチを食べながらではあったが、さしずめ私へのインタビューの機会にもなった。他愛もない問いが投げかけられるのだが、答えを戻すなかでは、私自身の人生の要所要所を振り返ることが求められていたような気がした。いみじくも、「考えることが習慣になっていて、苦痛なことではないのですね」という感想をいただいたのだが、確かに、考え抜いた結果ではなかったものの、日頃漠然と感じていることや、あるときに思ったことなども含め、自分の考えを伝えさせていただいた。ちなみに、質問の内容は、イチローについて、何かをするときに伴うしんどさについて、はたまた恋とは何か、など、極めて多彩であった。

 その中で、「かっこいいと思う人はどんな人か」という投げかけに対し、ほぼ即座に「ライバル関係を持っている人」と応えさせていただいた。このことに、二重の意味で驚かれたようである。一つは、なぜ即座に自信を持ってこうした抽象度の高い問いに応えられるのか、もう一つは、そうした関係を私自身が持てているという実感が伝わったためであった。ライバル関係とは、一方的な羨みや妬みによるものではなく、あいつには負けたくないと闘争心を抱きつつ、どこかであいつを手本として学んでいこうという思いが双方のあいだで成立していなければならない。しかも、その関係が、年齢が離れたあいだにおいて、技術と経験の深度から構築できていれば、切磋琢磨しあえる可能性を持っている意味で、実に「格好」が良いのではないか、そんな風に考えていることを伝えせていただいた。

 もちろん、私自身、「ええかっこしい」な自分を気取ってしまったり、一方で無様さを露わにしてしまうこともある。そのときこそ、自らの傲慢さや、相手の謙虚さを見つめる絶好の機会であり、ライバルやモデルを見いだすきっかけとなることもあろう。ちなみに来年度は「アクティベーション」ということばをキーワードに、より一層、人間関係の構築について、すなわちコミュニケーションデザインについて、より深く考え、そして丁寧に向き合っていきたいと考えている。少なくとも、多くの原稿が進んでいない無様さを赦していただいている皆さんへの謝意を覚えつつ、先般のインタビュー時には元気のなかった私を元気づけてくれたことへのお返しは、少しだけできたのではないかと思いつつ、この文章を綴ってみた。

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