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2007年2月6日火曜日

モバイル書斎の遊戯術

 知る人ぞ知るモノフェチである。何かを尋ねられれば型番で応えることも少なくない。ちなみにモノフェチとコレクターは違う、という主張を持っている。私はコレクターではなくモノフェチであって、「ただ集める」のではなく「納得のいくモノを使う」という立場を貫いているつもりだ。

 そんななかで今日届いた「Bluetooth」機器はいただけなかった。Bluetoothとは最近、特に普及し始めた無線通信技術であり、赤外線のように通信距離や遮蔽物の制約を受けにくい上に、通信速度が比較的早く、消費電力も低い部類に入ることから、モバイル機器で導入されつつある。私のMacも、携帯電話も、また通信用に所持しているPHSも、いずれもBluetoothに対応している。そうした中で新たに導入したのが「iPod」をBluetoothで聞くことができるようになる機材と、その機材のレシーバーとなる上に携帯電話のハンズフリーをも実現するという機材のセットであった。

 何がいただけなかったかと言うと、「音質が悪い」のである。というのも、私が今使っているヘッドホンは、昨年得度して僧侶になった折、友人であり同志から贈られた「BOSE」社の「Quiet Comfort 2」という逸品である。そのため、「ウソがウソと出てしまう」のだ。明らかにBluetoothを介さないほうが音がよいのだ。この失敗に至った要因は商品選びの際の「スペック偏重」以外の何者でもなく、そのために実物を触って試すことなく購入してしまったインターネットショッピングの落とし穴にはまってしまったのである。

 (理)工学部で学んでいた頃、ものづくりとは「美・用・強」を満たさねばならないと教わった。美しく、人に用いられ、そして強い、という3原則である。これに習って言えば、ただ単に機能満載では用いられない。何より「美しさ」をもっと追求すればよかったと、今一度型番に目をやりつつ、新たなモノ探しの旅に出るのであった。



モバイル書斎の遊戯術

鞄の中から『QV-10』と『リブレット』が消えた日(抜粋)




 ところがまた問題発生。撮った画像を外へ出しようがないことに気づいたのだ。画像転送のためには専用のソフトが必要だし、しかもウィンドウズ・マシンしか転送先に選べない(マックも忘れるなよな)。そこでIBMの『ThinkPad530CS』があることを思い出し、転送ソフトを買いましたです。ところが、げーっ、だ。『ThinkPad530CS』は256色マシンゆえ、『カラーザウルス』のデジタル写真を転送すると減色してしまうんだって。赤外線通信もうまくいかず、あれこれやっているうちにIBMマシンの「ウィンドウズ95」が死んでしまった。

「デジタル携帯電話」経由で自分宛にデジタル写真をインターネット・メールとして送信することも考えたが、気が遠くなるほど通信料がかかるので断念。『リブレット20』用に買ってあった2万8800bpsのカードモデムを使っての有線送信を試みたが、今度は『カラーザウルス』お嬢ちゃん、モデムカードを全然認識せず。脳味噌ドロドロだわ。

 それでも懲りず『カラーザウルス』で使えると風の便りで聞いたモデムカードを買ったのだが、これまたインターネット接続できず! 私はこうしてこの1か月、怪しいキャッチバーで「ミニスカートを脱ぐなら3万円」「ブラジャーとるなら6万円」「パンティーとるなら10万円よ」……と、じゃかすかじゃかすか財布の中身を吸い上げられるような状態を続けているのであります。



山根(1999)p.79 <初出:DIME/1996.12.19>