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2016年4月3日日曜日

場の言葉をすくう

 ココルームの新しい拠点の開設記念の場にお邪魔した。新たにゲストハウスとカフェと庭をあわせ持つ場とした思いが、公開理事会としてのトークで語られた。代表の上田假奈代さんは「どうやって他者と信頼しあってここにいられるか?」がテーマだったという。「旅人と地域、国や民族の違う人、スタッフ、ここで出会い、ここの場所でしなやかにのびていってくれれば」といい、「アートホテルではなく、みんながつくった場所で、学び、眠り、出会うといいな」と思いを述べた。
 場の生成と発展について、ゆかりの皆さんが語った。アサダワタルくんは「スタッフもまた旅人、別の場所で種となる」と。西川勝さんは「聴くということは、相手が言える以上のことを言葉にすること」と。浜松から来た鈴木一郎太さんと大東翼さんは、それぞれに専門家集団への身構え方について語っていた。
 建築の専門ではない鈴木さんの言葉が印象的だった。「居心地が悪そうでも、そこにいていいと感じてもらえる場所が大切。それは誰かが教えてくれるものではなく、護られている場所だということ。」まさにココルームだ。
 お酒が回った西川さんが、哲学者に戻り、師匠の鷲田清一先生の言を紹介した。「臨床哲学とは言葉に出会い、じぶんのものではないけど大事にすくいあげること。」最後、假奈代さんから私にマイクが向けられたが、遠慮をした。もう少し場に浸らねば、じぶんの言葉で場をすくいあげてしまうとよぎったのだ。