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2013年7月3日水曜日

corpocracy:企業主導の民主主義

この1月から、水曜日の午前中には、大阪・中之島の朝日カルチャーセンターに、英語を学びに行っている。ただ、毎週ではない。大学のセメスターは春と秋の2つの学期に区切られて、1年の前半と後半とに分けられるが、このクラスでは、おおむね2ヶ月が1つのセメスターとして構成され、セメスターとセメスターのあいだには若干の休みが入る。今日は新たなセメスターの初回講義であり、いつものとおりにThe New York Timesを教材として、Tad先生の導きにより、ウィットに富んだ対話が進められた。

今週の題材は「Obama’s Covert Trade Deal」であった。日本ではとかく農業の面で語られるTPPだが、この記事ではインターネット著作権について、薬の許認可について、国家の管理を越えた金融の自由化について、という具合に、多方面に影響が及ぶTPPが、議会ではなく大統領が先決する案件であることの問題について迫っている。Tad先生は冒頭で、オバマ大統領が「benevolant dictator」(慈善的な先制者)と呼ばれていることに触れた。そして受講生との意見交換を通じて、記事の題名にも埋め込まれているとおり、TPPがポストWTOを射程に入れた「貿易の協定」という側面よりも、対中国への「national league」(国家の同盟)という構図にあることに迫っていくこととなった。

今日の対話の中で、「democracy」ならぬ「corpocracy」という言葉を学んだ。すなわち、企業主導の民主主義という新たな統治の概念である。確かに、TPPは国家における議会制民主主義を越え、グローバル企業を中核とした、自由競争への市場解放を求めた運動とも言えよう。交渉プロセス自体も非公開という、なんとも奇妙な民主主義が行き着く先は、どのような世界なのか、グローバリゼーションへの小さな絶望と、ローカリゼーションへのささやかな希望を携える他はなさそうだ。

英語のクラスを終えた後は、應典院へと向かった。まずは発行が遅れている「サリュ・スピリチュアル」の編集作業にあたった。そして夜には9月21日・22日に應典院で開催予定の「市民メディフェス」の打ち合わせだった。現場がある人どうしの密な会議の気持ちよさに浸りつつ、京都への家路につくのであった。


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