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2024年1月7日日曜日

3連休のまんなかで

3連休のまんなか、昨日からの放送大学の教材づくりは早めの午前で一段落した。そこで、午後には他の作業を進めつつ、連続ドラマを見ることにした。1話が50分で8話連続の作品である。計算すれば、早めの午後から見れば夜までに見終えることができるものの、そんなに焦って見ることもないだろう、などと思いつつ第1話を見てみたところ、作品の世界にどっぷりと浸ってしまった。

NHKオンデマンドにて一気呵成に鑑賞したのは2023年3月から5月にかけて、NHKのBSプレミアムで放送されていた「グレースの履歴」である。原作は小説で、2010年に単行本で出版された際には『グレース : Take me to the final destination』の書名だったものの、2018年に河出書房新社から文庫化された際にドラマと同名の『グレースの履歴』に改題された。後にWikipedaを閲覧したところ、ちなみに原作者の源孝志さんは立命館大学の卒業生(1984年、産業社会学部)とのことである。そして、過去に手がけた作品リストに、2021年に京都芸術劇場にて立川志の輔師匠による落語『中村仲蔵』に触れた後、これまたNHKオンデマンドで鑑賞した「忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段」があり、今作にも引き込まれたことに合点がいった。

「グレースの履歴」を見ることにしたのは、先日、高校時代の恩師をクラス会にお招きした際、「山口君は見たか?」と訊ねられたためである。というのも、そのタイトルにある「グレース」は、ホンダのS800(正確にはS800L)で、車好きなら必ずや見ているだろう、と踏んでいたのだが、私はドラマも小説も、まったくノーマークであった。先生は残念そうな表情を浮かべつつも、カレンダーを私に差し出した。なんと作中に出てくるS800Lを準備された車屋さんのもので、かねてより先生がお世話になっている店だという。

作品の内容は、Webで公開されているあらすじを見ていただくとして、あふれる感情のもとに記しておくと、S800Lの造形的な美しさに引き込まれたのは言うまでもなく、脚本、役者さんの演技も、またカメラワークも含めた演出全般の秀逸さにより、長く記憶に残る作品と確信している。また、S800L以外の小道具にも引き込まれる部分が多く、例えば夫婦の出会いのエピソードとして重要な要素になっているデジタルカメラが、最終話ではかけがえのない家族のつながりを視聴者に訴えかけるものとして用いられており、(S800Lがモノとしての主人公とすれば、人間としての)主人公の希久夫さんに過度なまでの感情移入をしてしまった。余韻に浸りつつ、素敵な作品を紹介していただいた先生に、お礼のメールを送らせていただいた。実は先生の出会いが、今の私が高校卒業時には予想だにしなかった仕事を手探りでも続けていられる背景にあることを、母校の100周年記念誌に寄稿させていただいたのだが、まだまだ先生の慧眼には遠く及ばない。




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