おうみNPO活動基金という助成金がある。財団法人淡海文化振興財団、愛称で淡海ネットワークセンターという団体が展開している事業だ。同センターは、滋賀県が100%出資した財団法人で、いわゆる外郭団体として1997年に設立された。県域でNPO支援に取り組むということを当時は驚き、その翌年から、大学コンソーシアム京都のNPOインターンシップ・プログラム(1期生)から、インターンの受け入れをお願いした。
助成金は今年で7回目だが、私は3年目(2004年度)から関わっている。詳細はセンターのホームページ内(http://www.ohmi-net.com/kikin/kikintoha.html)にあるように、滋賀県からの5000万円を基に設立された基金である。関わり始めた当初は「運営委員会」に「審査委員会」と「サポート委員会」が置かれ、助成決定までと、助成決定後と、それぞれ明確に役割を置いた、複層的な基金運営体制を敷いていることが興味深かった。その後、運営委員会内の委員会が一本化され、助成プログラムも「中間支援枠」「協働枠」など拡張され、この2年はハード部門の「まち普請事業」など、進化を重ねていった。
プログラムの最後に委員としては最期の懇親会に参加させていただいた。その席で全部の席にお酒をつぎ、料理を寄せるなどしていたら、「もっと怖い人だと思ってたけど、やさしい人ですね」と言われた。ふと、秋葉原事件を起こした彼が、「小さいころから『いい子』を演じさせられていたし、騙(だま)すのには慣れてる」と掲示板に綴ったことを思い出した。他者とのあいだで、誰も演じていない役柄を演じようと立ち居振る舞ってしまうということ、それは結局のところ、他者とのあいだで壮大な誤解を前提に関わり合うという、不器用な人生を歩んでいることを意味するのかもしれない。
そんな最後の委員会の昼食時、ハローワークのことが話題になった。NPOの緊急雇用対策で、ハローワークを(たとえ登録日1日でも)通さねばならない、という話だった。個人的に、手続き的にハローワークが用いられて、行政の機構として実績数値だけが評価されているとすれば、新しい仕事に出会う(say hello to the new work)可能性は低くなるのではないか。同時に、何事も新しいもの、こと、ひとにきちんと出会うためには、それまでのもの、ひと、ことをきちんと整理して(say good bye to something precisely)おかねばならないだろうと、委員の任期を満了するにあたり、感慨に浸るのであった。
こんなことを書いているが、別に全てのものを投げ出したい、という思いに浸っているわけではない。その象徴に、別にビートルズの「Hello Goodbye」を口にしているわけではない、とでも書いておいたらいいだろうか。ただ、いろんなことを整理する時期であることは間違いない。ゆえに、今日もまた、Mr.Childrenの「Tomorrow Never Knows」を何度か聴いている。