應典院での年に一度の総合芸術文化祭「コモンズフェスタ」が終わった。 應典院は「催事」すなわち「イベント」寺とも言われるが、eventを英和辞典で引けば「出来事」という表現もある。そして、1月10日から15日間にわたって展開された「お祭り(festival)」では、各種の出来事が絡み合うこととなった。もちろん、出来事が絡み合うのは、コモンズフェスタに限ったことではなく、鉄とガラスとコンクリートによる現代建築が「まちと呼吸する」お寺として、その役割が果たされたとき、そうした場が無数に立ち現れている。
コモンズフェスタには毎年、固有のテーマが掲げられているが、今回のテーマは「とんちで越境!」であった。このところ、少なくとも2006年度以降は、事務局によってテーマが定められ、そしてそもそもの企画運営も進められてきたのだが、2012年度には1998年の開始当初への「原点回帰」ということで、実行委員会形式での展開を図ることとした。8月6日に第1回の企画会議を行い、続いて8月28日、9月25日と議論を重ね、10月11日に「境界線を超えろ!~自と他を繋ぐ時代(とき)~」という原案が定まった。それを主催団体「應典院寺町倶楽部」の事務局長の職にある私が預からせていただき、テーマ原案をもとに開催趣旨文を書き下すなかで、上述のとおり「とんちで越境!」を主題に、そして副題として掲げた「自他を結び、過去と未来をつなぐ問題集」を、皆さんにお認めいただくこととなった。
プレ企画も含めれば、21のプログラムが展開された今回、その最後を飾ったのは「クロージングトーク」だった。そこでは何人かの口から統一テーマについても触れられた。実は、このテーマには当初英語名も併せて提案させていたものの、英語力のなさと、自らが身を置いている立命館でも「beyond borders, creating a future」が2020年までの学園ビジョンとして示されていることが重なって、使用は控えさせていただいた。しかし、8月から共に「機知に富んだ人々」とともに、2週間あまりの出来事づくりにあたってきたメンバーこそ「とんち」がきいていたし、互いの領域や領分の境界を越えて交わりあったと確信している。
クロージングトークにおいて、今回の企画委員の一人である、関西県外避難者の会・福島フォーラムの代表である遠藤雅彦さんが「伝えたいことが重いときには、ストレートな表現では逆に伝わらない」 と仰ったのが強い印象に残った。確かに、野球の比喩を用いるなら、直球勝負が面白いときもあれば、狙いすぎて暴投となってしまうこともある。少なくとも、捕手がいて、打者がいて、投手は投手としての役割を果たすことができる。1時間あまりのトークセッションと、1時間程度の小打ち上げによるクロージングとなったのだが、トークの最後、福島県いわき市から2011年3月16日に学生時代を過ごした関西にやってきた遠藤さんは、今回の企画への参加を経て、来年に向け「変化の渦中にいる今、どう変化していったのかを伝えていきたい」と語った。遠藤さんの投げた球は、果たしてホームベースに届くのか、共に見届けていければ、と願う。
コモンズフェスタには毎年、固有のテーマが掲げられているが、今回のテーマは「とんちで越境!」であった。このところ、少なくとも2006年度以降は、事務局によってテーマが定められ、そしてそもそもの企画運営も進められてきたのだが、2012年度には1998年の開始当初への「原点回帰」ということで、実行委員会形式での展開を図ることとした。8月6日に第1回の企画会議を行い、続いて8月28日、9月25日と議論を重ね、10月11日に「境界線を超えろ!~自と他を繋ぐ時代(とき)~」という原案が定まった。それを主催団体「應典院寺町倶楽部」の事務局長の職にある私が預からせていただき、テーマ原案をもとに開催趣旨文を書き下すなかで、上述のとおり「とんちで越境!」を主題に、そして副題として掲げた「自他を結び、過去と未来をつなぐ問題集」を、皆さんにお認めいただくこととなった。
プレ企画も含めれば、21のプログラムが展開された今回、その最後を飾ったのは「クロージングトーク」だった。そこでは何人かの口から統一テーマについても触れられた。実は、このテーマには当初英語名も併せて提案させていたものの、英語力のなさと、自らが身を置いている立命館でも「beyond borders, creating a future」が2020年までの学園ビジョンとして示されていることが重なって、使用は控えさせていただいた。しかし、8月から共に「機知に富んだ人々」とともに、2週間あまりの出来事づくりにあたってきたメンバーこそ「とんち」がきいていたし、互いの領域や領分の境界を越えて交わりあったと確信している。
クロージングトークにおいて、今回の企画委員の一人である、関西県外避難者の会・福島フォーラムの代表である遠藤雅彦さんが「伝えたいことが重いときには、ストレートな表現では逆に伝わらない」 と仰ったのが強い印象に残った。確かに、野球の比喩を用いるなら、直球勝負が面白いときもあれば、狙いすぎて暴投となってしまうこともある。少なくとも、捕手がいて、打者がいて、投手は投手としての役割を果たすことができる。1時間あまりのトークセッションと、1時間程度の小打ち上げによるクロージングとなったのだが、トークの最後、福島県いわき市から2011年3月16日に学生時代を過ごした関西にやってきた遠藤さんは、今回の企画への参加を経て、来年に向け「変化の渦中にいる今、どう変化していったのかを伝えていきたい」と語った。遠藤さんの投げた球は、果たしてホームベースに届くのか、共に見届けていければ、と願う。