今年に入って「これだけはやめよう」ということを1つ決めていた。それは近距離のタクシー移動である。このところ時間を買う感覚でタクシーに頼ることが多かった。しかし、時間に余裕を持ってバス等で移動し、目的地の近くでコーヒーを飲むなどした方がよほど質の高い仕事ができると考えたためである。
新年から6日、自分に課した「近距離タクシー禁止令」は、早くも崩れ去った。今日は朝から立命館大学の朱雀キャンパスで1月より着任の新総長、吉田美喜夫先生に立命館災害復興支援室のブリーフィングを行うことになっていた。終了後、衣笠キャンパスに向かって講義2コマという予定だったが、なかなかの手ごたえを感じることができたことも相まって、説明要員を担った災害復興支援室の事務局スタッフの皆さんと共に昼食をいただくことにした。そのため、慌ただしい移動となり、タクシーを使わざるを得なかったのである。
慌てて衣笠キャンパスに向かわねばならなかったのは、3限の「地域参加学習入門」で、NPO法人サリュの皆さんをゲストにお迎えしたためだ。今回はスタッフの瀬端さんとメンバーの大西さんにお越しいただいた。講義後に回収したコミュニケーションペーパーと呼ばれている感想・質問の用紙を見てみると、精神障害、作業所、それらの存在を知らない学生もいた。何気なく目にしている人々が目には見えないしんどさを抱えていることに想像力を巡らせていく手がかりを見出してもらえたら、と願っている。
ちなみに私は「サリュに行くと生活にメリハリが生まれる」という大西さんのフレーズが印象的だった。QOL(Quality of Life)という概念が提示されて久しい。以前、立命館大学文学部のサトウタツヤ先生が、原子力災害の只中にある福島の方々にどう向き合っていくのかを考える際には、「Life」という一つの単語に、人生、生命、生活、3つの意味がある、ということに注意を向けよう、とお話されていた。そんな話を想い起こしながら、6限の「ソーシャル・コラボレーション入門」では生協購買部で売っていた福袋を配りつつ、「ニーズ」からの企画提案だけでなく「シーズ」からの企画立案もある、ということを説き、長い一日を終えた。