モノフェチという自覚がある。多趣味ということも重なって、年を重ねるごとにモノが増えてきた。それでも、自宅と職場の引っ越しを経て、少しずつだが、モノを減らしつつある。思い出の詰まったものも多いのだが、思い出を平面に封印するかの如く、写真に遺してから手放し始めている。
スティーブ・ジョブズもまた、モノへの相当なこだわりがあったという。ウォルター・アイザックソンによって著された伝記には、自宅の家具を選ぶのに8年を費やした、といった挿話が紹介されている。また、普段使いのものも、イッセイミヤケの黒のタートルネックに、ボトムスはLevi'sの501、目にはドイツ・Lunor社のClassic Roundのアンティークゴールド、足元はニューバランスのM990(992)、という具合に選び抜かれていたことはよく知られている。いわゆるライフハックと呼ばれるような、ちょっとした仕事術をまとめたウェブなどでは、facebookの創業者であるマーク・ザッカーバーグも毎日同じTシャツを着ているというが、それは「できるだけ決断の数を少なくしたい」からだという。
今日、新しい靴をおろした。ザッカーバーグほど無頓着ではなく、ジョブズほど偏執ではないが、贔屓にしているメーカーや、好みのスタイルがある。例えば、眼鏡は眼鏡研究社、ボトムスはWranglerのドレスジーンズ00082、革靴はtrippen、という具合である。一時期はmade in Japanにこわだわってオニツカタイガーなどを選ぶなどしてきたが、気付けば一番の仕事道具であるコンピュータがAppleということで、それを貫くことはできないという壁にぶち当たってしまった。
今日おろしたのは、いつもと変わらない黒の靴、しかしスニーカーである。後に知ったtrippenもそうであるように、こだわりの靴づくりの歴史を持つメーカーであることにひかれて、大学時代に愛用していたニューバランスを久しぶりに選んでみた。時折、雨に降られる京都だったが、新しい靴は甲が高めの私の足を絶妙に包み込むものだった。今日は朝から立命館大学衣笠キャンパスでサービスラーニングセンターの会議、その後新春ランチ、そして夜は京都シネマの支配人の横地由起子さんと歓談、という具合だったが、誰にも新しい靴に気づかれなかったので、スニーカー記念日として記しておくことにしよう。