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2017年7月8日土曜日

風ふかずとも痛い

 長年にわたり「ウリアデック」を処方されていたのだが、ついに痛風の発作が出てしまった。朝起きると右足の人差し指と中指に猛烈な違和感があった。夜のうちの寝返りで、壁に足をぶつけたのかと思っていた。ところが、時間が経つごとに痛みは増していった。

 一時期、10という数字まで上がってしまった尿酸値も、ビールや油ものを避けることで7まで下がっていた。もちろん、薬の効果もあった。デンマークではストレスフリーな暮らしを重ねていたが、食生活の変化と処方された薬の服用をサボってしまったために、このような結果をもたらしてしまったのだろう。にしても、痛風の発作がこれ程とは、想像を絶するものがあった。

 それでも午前中には、コペンハーゲン中央駅からバスで20分くらいのフレデリクスベアに向かい、システアナ美術館での三分一博志さんの作品「The Water」を鑑賞しに行った。この展覧会は日本・デンマーク外交関係樹立150周年を記念して行われている事業の一つであるそのため、日本語のパンフレットも用意されていた。それによれば、コペンハーゲン市の水道供給公社がコレラ蔓延への対策として1856年から59年にかけて設置した古い貯水施設である。

 デンマーク王立芸術アカデミーでも教鞭をとる三分一さんの趣向は、瀬戸内国際芸術祭での犬島での「精錬所」のプロジェクトで体感済であった。そして今回の作品でも、その場所が持つ性格が丁寧に扱われていた。動物園の向かい側に整備された芝生広場の地下に広がる地下空間は、鏡を巧みに用いることによって取り込まれた自然光により、かつて市民のいのちを支えた水瓶であったという記憶を呼び覚ますものとなっている。暗く、静かな空間の中で、自らの身体があげた悲鳴に向き合うひとときとなった。