7時間の時差のある日本とのあいだで、今日はデンマーク時間でお昼前から会議に参加した。現地時間では18時半の開会、20時までの予定であった。同志社大学大学院総合政策科学研究科による複数担当者による授業「コミュニティ・デザイン論」の運営のための研究会で、秋からの効果的な進行のために、コミュニティ・デザインに関する動向や、実践を論考するにあたっての理論的観点を深めていく機会である。私はどちらかというと若手ということもあって、例えば今年から京都美術工芸大学で教鞭を執っておられる高田光雄先生が、学生当時に精読されたというジョン・ターナーの著作などに触れて議論を深めるなどされ、こうした研究会の場で碩学の皆さんから改めての学びを得ると共に、自らの思考の浅さを自覚する機会となっている。
この授業は大阪ガス株式会社エネルギー・文化研究所と同志社大学との協定のもとで実施されている。その内容については、2006年から学部向けに設置された際の内容は創元社から『地域を活かすつながりのデザイン』に、2010年度からは大学院向けの授業として展開された内容は2014年度の講義録が『「コミュニティ・デザイン論研究」読本』としてまとめられた。今日は昨年度の展開を踏まえ、コミュニティ・デザインの定義、基本方向、立脚点、主体と基本態度、方法と技術、そして現代日本社会におけるコミュニティ・デザインの意義などについて意見交換がなされた。私からは政治への関わりについて問題提起を行ったが、現象の話を扱う中では市場メカニズムが公共領域にどう影響しているのかといったことにも触れられるべし、という観点が出され、総合政策科学研究科の講義としてまかなわれるべき視点を改めて得た気がしている。
ちなみに研究会の前には、東京の高校生から投げかけられた問いに改めて返答を重ねた。昨日のうちに、一昨日のメッセージへの返答が届いていたためである。そこでは、「行政とNPOやメセナなど様々な団体が一丸と」なって取り組みを行う可能性・妥当性はあるか、指定管理者制度「芸術文化を活性化させるため」の策として効果的か、「アーツマネージャー」の具体的な動きはどのようなものか、が問われた。1点目には国民文化祭と各地で取り組まれているアートプロジェクトの対比を、2点目には2010年1月にまとめられた大阪市の新美術館構想(現在は撤回され、再検討された)を引き合いに経済合理性と政策評価の関係について、3点目には2008年2月に文化庁の文化審議会文化政策部会がまとめた「アートマネジメント人材等の育成及び活用について」という文書を紹介し、私なりの視点で返してみた。
こうしてアウトプットが続いた一日となったため、夕方からはインプットの時間とした。日本から持ってきた書物を読み、これまで手がつけられていなかった研究に対する取り扱い方を深めることができた。ちなみに天気も不安定で、夕方には横殴りの雨が窓に打ち付けてきた。そうした中、17時を過ぎると、日曜日好例のアイスクリーム屋さんがやってきたので、「素敵な天気」を話題にしつつ、バニラアイスを近々胃袋へとインプットすべく、買わせていただいた。