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2017年9月22日金曜日

恩師との対話

日本心理学会3日目、今日もまた朝から会場へと向かった。そして1日目と2日目と変わらず、賑わっている。向かった先はポスター会場だ。下條信輔先生(カリフォルニア工科大学教授)による招待講演『ポストディクション(後付け再構成)と、意識的な「気づき」』にも興味があったが、ポスター会場に向かった。

ポスター会場では恩師の渥美公秀先生が発表されていた。日本心理学会の一般発表はポスターのみのためだ。発表のタイトルは「観光客(郵便的マルチチュード)としての災害ボランティア」であった。これまで柄谷行人による「世界史の構造」(2010)をもとに災害ボランティアの秩序化に対して警鐘を鳴らしてきた中で、東浩紀による「観光客の哲学」をもとに「なぜかそうなってしまい続けるようにする」こと(ジャック・デリダによる「誤配」概念)をいかに戦略的に展開できるかを論じたものだ。


ポスター会場でも議論をさせていただいたが、早めのランチをJR久留米駅にてご一緒させていただいた。実は日本心理学会での予稿集は1200字ほどに収められているものの、既に5月の時点で8000字ほどの草稿を拝読させていただいており、関心を向けて来た。今回、改めてポスターを前に語っていただいたことで、抽象度の高い議論を、私も知るある方を想い起こして捉えていることがわかり、腑に落ちた。私なりに噛み砕くと、なぜかそうなってしまい続けるようにするには、あえて引っ張りも守りもしないように振る舞っているリーダーと共に活動しているフォロアーがいる、ということである。

早めのランチの後、私は再び会場に戻り、公募シンポジウムを2つ拝聴した。一つは「なぜ人は身体変工を行うのか?ー永続的な装いの心理学ー」、もう一つは「プラセボ効果とは何か—心理学と神経科学からのアプローチ—」であった。前者では他者からのまなざしだけでなく過去および未来の自分からのまなざしに、後者では意味づけと意志決定について、あまり普段は馴染みのないトピックから触れることができた。そして会場の前から直接、福岡空港へと向かい、インチョン空港(韓国・ソウル)、スキポール空港(オランダ・アムステルダム)と経由しての帰路についた。