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2018年2月28日水曜日

崖の上と下と

FWSP(フィールドワーク社会心理学研究会)2018も最終日、3日目を迎えた。朝はcocoroomの茶がゆに始まり、ラジオ体操の後で、上田假奈代さんの案内のもと、釜ヶ崎のまち歩きとなった。研究者集団のまち歩きということに気を配っていただき、まずは統計データをもとに、歴史と現状を解説いただいた。そして、cocoroomによって作成された小冊子型の「釜っぷ!」を手に、まちへと向かった。


まずはcocoroomから堺筋の方向へと西に進んだ。郵便の受け取りサービスも行っている荷物預かり所、かつては小・中学校が置かれて「あいりん銀行」と呼ばれて親しまれてきたあいりん貯蓄組合」も入居する「旧・大阪市立愛隣会館」、多数の文化活動が行われている「ひと花センター」、無料休憩所と禁酒の館がある「あいりんシェルター(2つあるうち、萩ノ茶屋シェルター)」、そして西成労働福祉センターなどが入る「あいりん総合センター」を順に回った。その後、通称「四角公園」と「三角公園」と巡ると、三角公園にて、「ふるさとの家」のスタッフの方が、9人の参加者のうち、半分以上が男性であることに白羽の矢を立てたのか、「ちょっと男手がいるの」と假奈代さんを呼び止めた。そして、東京から届く備蓄用の食材(アルファ化米)の荷下ろしを手伝うことになった。


ふるさとの家」は、フランシスコ会の日本管区長を務めた本田哲郎神父が、その任を終えた後、長らく施設長となって人々の生を支えた拠点である。荷下ろしがてらに施設内を見学させていただくと、散髪の当番表には週に1〜2度、「本田」の名前が掲げられていた。その後は西成警察署を仰ぎ見て、新開筋商店街から「山王こどもセンター」及び「山王おとなセンター」の前を通り、金塚小学校手前の広場まで歩いた。そして、上町台地の上にそびえる阿倍野界隈と、台地の下の飛田新地とを対比させながら、「猫塚」で知られる「松乃木大明神」に立ち寄った後に再びcocoroomへと戻った。


假奈代さんとまち歩きの振り返りをした後、cocoroomでハヤシライスなどのお昼ご飯をいただいて、一行は大阪市立大学医学部附属病院へと向かった。小児科医で、この間、医療安全管理の専任医師としてお仕事をされてきた山口悦子さんに病院の紹介、研究・実践の内容をお話いただいた後、再び、若手の研究発表の時間となった。まずは「中国の住民主体地域経営:院前済生縁合作社の事例」、続いて「コミュニティの多様性に着目した地域防災に関する研究:フォトボイスを使ったクション・リサーチから」と2本、発表が行われた。この2本で多くの時間を費やしたために、最後「『秘密』と『嘘』の当事者学」は、終了時間を延長して、部屋の使用時間ギリギリまで議論を行い、3日間にわたる研究会の幕が下りた。