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2021年1月30日土曜日

かつてのホームがアウェイになって

菊川市役所に伺った。東館で開催のシンポジウム「ふじのくに地域芸術祭セッション~なぜ「まちづくり」にアートが必要か?」に参加のためである。このシンポジウムには「NPOプレゼント講座」と掲げられており、静岡県労働金庫による静岡県労働者福祉協議会を通じた社会貢献の取り組みのようだ。きょうとNPOセンターでも、近畿行動金庫と京都労働者福祉協議会の皆さんから、多々、ご支援をいただいていた。

今回は登壇者のお一人からのお誘いで参加を決めた。「地域芸術祭セッション」と位置づけられたこともあって、「するがのくに芸術祭 富士の山ビエンナーレ」(富士の山ビエンナーレ実行委員会・谷津倉龍三さん)、「遠州横須賀街道ちっちゃな文化展」(遠州横須賀倶楽部、横山忠志さん)、「原泉アートデイズ!」(原泉アートプロジェクト、羽鳥祐子さん)、「まち×人×アートプロジェクト」(アートコラールきくがわ、笠原活世さん)、「UNMANNED無人駅の芸術祭/大井川」(クロスメディアしまだ、大石歩真さん)による話題提供がなされた。2時間で5団体の事例紹介と相互討論という、率直な印象としては時間進行に相当の工夫が求められる構成だった。事実、5分とされていた事例紹介は5分程度ならぬ10分程度までなされる団体もあり、後半は「他の芸術祭と比べた際の特徴(キャッチフレーズ)」、「地域で芸術祭を行うメリット」、「原動力」、「コロナ禍への対応」、そして最後に「なぜまちづくりにアートが必要か?」が進行役からの問いが投げかけることで発言が引き出されていった。

終了予定時刻の約3分前にフロアからの質問の時間となり、お1人から3つ投げかけられた。(1)県の文化プログラムの評価への期待、(2)地域の方々の位置づけ、(3)アーティストの声の3つだった。正直、これらの質問はもちろん、パネルディスカッションでの問いも、簡単に言葉にできないものばかりである。

ふと、越後妻有アートトリエンナーレに続いて徳島県上勝町での国民文化祭で制作をされた日比野克彦さんが、かつて現代美術によるアートプロジェクトの意義について「ホームとアウェイの反転」と仰っていたことを思い出した。というのも、私自身が今、かつてのホーム(静岡県)がアウェイになっており、そんな私が浜松市の「みんなのはままつ創造プロジェクト」や「創造都市推進事業補助金」の運営に携わる機会をいただけているのは、改めて、アーティストがホームグラウンドとして活躍できる環境を整えることへの貢献だ、とその意義を確認することができた。原研哉さんは「未知化(Ex-foration)」という素敵な表現を行っているが、普段、言葉を使う仕事(大学教員・研究者)をしているからこそ、簡単に言葉で整理できないことに丁寧に向き合っていくこととしたい。明日は、この場にお誘いいただいた羽鳥さんが浜松市で取り組んでおられる佐鳴湖でのプロジェクトにお邪魔する。


深蒸し菊川茶 イメージキャラクター 「ちゃこちゃん」は小山ゆう先生の作品とのこと
(iPhone XR, 4.25mm<26mm>, f/1.8, 1/151, ISO 25)