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2021年3月9日火曜日

直前の前例の上書き保存

町内会の総会に向けた準備を進めている。今日も現会長から、書類作成のための情報が届いた。パソコン、ワープロ、またファックスやスマートフォンもお使いでいらっしゃらないので、副会長の一人として事務仕事をお手伝いしようと買って出たためである。既に職業としては選択肢から消滅したと思われる「タイピスト」という役割が必要とされた背景を理解しつつ、手元で多くの書類が出来上がってしまうために印刷屋さんも大変だろうと想像している。

町内会に限らず、輪番制の組織によくある話として、直前の年度の書類のみが参照されるという点があるのではなかろうか。要は2年以上前の取り組みは、あまり参考にされないのではないか、ということである。もちろん、細かい方は数年来の動きを振り返って、その後の見通しを立てるかたもおられるものの、大抵はバトンを受け取った際の内容を上書き保存していく、という具合だろう。無論、安定的な組織であれば、その伝統が継承されて盤石な運営がなされるものの、不安定な要素がある場合には「蟻の一穴」のように手が及ばない程の被害がもたらされてしまうこともあるかもしれない。

もちろん、その逆も起こりうる。合理化、あるいは改革ということを進めようと思って、前例にこだわらない、という姿勢を貫くと、ルールや前例を重視する人たちとのあいだで軋轢が生まれる。しかも、勘が頼りにされる場合、転じて「好き/嫌い」の感覚が重視される場合、それが「良い/悪い」の判断基準とされてしまうこともある。この点は強靱なリーダーシップの危うさへの懸念と言ってもよいかもしれない。それゆえ、リーダーシップに対するフォロワーシップ、すなわちメンバーシップのあり方が重要となる。

今日はそうしたデスクワークに加えて、午前中には新入生の向けの動画の作成、午後には大阪大学・関西学院大学の皆さんとZoomでの研究会参加と続いた。それぞれに、目的が共有されている場なので、話は早い。だからこそ、場合によっては役割分担の結果で生み出されるものが、悪い意味で想像とは異なるものが仕上がってしまう可能性に対して自覚的にならないといけない。ちょうど、伝言ゲームにおいて、ある場面での微妙なニュアンスの解釈の違いで、最終的な結果が大きく異なってしまうように、自分が理解できたことを過信せず、しかし解釈の違いを楽しめる余裕も持ちたいものである。


コロナ禍ゆえのイレギュラーな対応があった年度ゆえ単純な上書き保存では済まない(はず)
(iPhone 12 mini, 4.2mm< 35mm equivalent: 26mm>, f/1.6, 1/100, ISO100)