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2014年7月24日木曜日

ルールで縛らずルールを紐解く

NCISというドラマがある。米国の海軍・海兵隊にまつわる犯罪捜査チームを描いた作品だ。日本ではiTunes Storeでの取り扱いがなく、DVDもシーズン2までしか出ていないこともあって、あまり知られていないだろう。ちなみにFOXチャンネルでは2014年7月にシーズン11の初回放送が終わり、ラルフ・ウェイト(Ralph Waite)氏の追悼として、チームのリーダーであるリロイ・ジェスロ・ギブスの父、ジャクソン・ギブスの死にまつわるエピソードが涙を誘った。

NCISはチームワークと組織のマネジメントを考える上で絶好の作品である。中でも法律が重視される犯罪捜査であるにもかかわらず、リーダーは「ギブス・ルール」という独自の規律を自らと仲間に課し、白と黒のあいだに分け入っていく。ただ、ギブスには役柄として寡黙で威厳に満ちた佇まいが求められているため、ルールにまつわる背景や解説は、仲間たちの語りや回想によってあぶり出されている。今日は朝から應典院で執務をしていたのだが、應典院のみならず、私が全員が見えるところに座る、ふとした会話に突如絡んでいく、といった立ち居振るまいの一部は、このNCISから着想を得ているところがある。

ちなみに大学での講義が一区切りしている今、会議や研究会が目白押しである。今日も福島からの来訪を受けて打合せがなされ、夜には立命館大学「教学実践フォーラム」が開催された。なお、今夜のフォーラムのテーマは「Deepening Reflection 2」とされ、1月21日に実施の「Deepening Reflection」の続編であった。前回は経済学部の金井萬話題提供者であったが、今回は坂田謙司先生(産業社会学部)と石原一彦先生(政策科学部)の実践に対して、コメンテーターというお役をいただいた。

実践から何らかの知見を得るでは、現場を包み込むルールを紐解くことが欠かせない。今夜の「Deepening Reflection 2」でも、1月の「シリーズ1」での「いかにして失敗事例に目を背けず振り返るか」と「指導のために抱く怒りを感情的ではなく伝えるにはどうしたらいいか」という視点をもとに、「現場からのフィードバックと現場へのフィードフォワードのループを保つことの大切さ」を確認した上で、「共異体としての学びのコミュニティをどう維持・発展できるか」、「個々の学生のgenerality(一般性)を高めるよりも、学生間のgenerativity(世代継承性)をどう育むことができるか」、「プロジェクトを通じた学びであれば金銭面のマネジメントにも踏み込んではどうか」が今後の論点になるだろう、と発言をさせていただいた。果たして「シリーズ3」があるのかは不明だが、これだけ実践的な学びが展開される中で、通常、実践を縛る足かせのように捉えられるルールを、担い手の責任感や倫理観を規定するもの(英語で言えばnorm)として丁寧に紐解くことが殊更に大切になってきているだろう。とりわけまちづくりや復興の実践に携わっている者としては、秩序を重んじてルールを厳格化している「管理」としてのマネジメントではなく、よりよい関係を開くための「運営」としてのマネジメントのルールへの興味を禁じ得ないのである。

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