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2021年1月5日火曜日

直営店とフランチャイズへの思い入れと思い込み

ネットのニュースを見ていたら、「肘以外は全部元気」という記事に対して、「ピッチャーが肘以外は全部元気って寿司屋で魚以外全部揃ってますみたいなもんでしょ」というコメントが添えられていた。Yahoo!ニュースということもあって、このコメントには多数の返信が重ねられており、夕方、17時30分ごろの時点で150を越えていた。私はなかなか秀逸なメタファーであると受け止め、コメントへの返信でも概ね好意的な評価が多いように思われた。しかし、中には「寿司屋に失礼」など、内容よりもその姿勢そのものに対して否定的なものも見られた。

米国の社会心理学者のケネス・ガーゲンによれば、メタファーは「視覚代理物」として概念拡張がもたらされるもの、である。ピッチャーが肘の話題を持ち出したときに寿司屋の話題が示されたことで、その表現を受け止めた側は、恐らく自身にとって馴染みのある風景を想起し、実際の体験に引きつけて、言葉の意味を経験的に深めたことだろう。ちなみに、コメントへの返信の中には中古車(見た目は綺麗、エンジンが壊れて走れない)や歌手(アカペラ奏者がノド以外は絶好調!って言ってるよう)や理美容室(床屋、美容院でハサミ以外全部揃ってます)など、その他の比喩を重ねる方もおられた。いわゆる大喜利状態となった。

今日のランチは久しぶりに外食だった。ちなみに寿司屋ではない。毎朝測るようにしている体組成計の数字は高値安定状態ということもあって、食べるものには一層の気を遣いたいところであるが、久しぶりなら馴染みのものを、と、夫婦で好みの天下一品に出かけた。ところが総本店はコロナ禍でも若干の混雑で、順番待ちは回避しようということになり、自宅近くまで戻って、比較的近所のお店へ向かった。

ところが、今日訪れたお店の味は、思い描いていた味とは異なるものであった。フランチャイズによって店舗数が増えてきた中で、かねがね、お店によって味のばらつきがあるとも言われていることもあり、あらかじめ「直営店」とされるお店に伺ったものの、フランチャイズ店ではなく直営店だから総本店と同じというわけではないということを改めて実感した。それはちょうど、例えばカメラのレンズを物色するときに目にするのだが、同じモデルでも日本製とそれ以外のロットで中古価格に差が出てしまうようなものかもしれない、と感じた。自らの思い入れを思い込みとしないためには、つくられる場所で決めつけるのではなく、つくってくれる人をきちんと見つめることが大事、これが今日の学びである。

私(たち)にとって天一は単なるラーメンではない(はず)
(Nikon D40, NIKKOR DX40mm, f5 1/640, ISO400)