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2021年2月19日金曜日

化石燃料の二重利用

徒然草にて兼好法師は「家のつくりようは、夏をむねとすべし」と記しているが、夏に合わせると冬が辛くなる、それが京町家である。もちろん、夏の対策よりも冬の対策の方が容易であったからであろう。服を着込み、風の動きを止めて、例えば火をおこして暖を取ればよい。一方で、夏には簾をはめこんだ建具(文字通り、簾戸)に変えて風通しをよくしようと思えば、あらかじめ家の中に通り庭と呼ばれる風の通り道を作っておかねば、例えば打ち水などをしたところで効果は出ない。

とはいえ、京都の冬は寒い。それは現代のマンション住まいでも如実に感じる。二重窓、ペアガラスのサッシ、外張り断熱、そうした建築工法は年々進化を遂げているはずだが、特に打ちっぱなしマンションでは、鉄筋コンクリートの躯体自体がまちの寒さと一体化して、底冷えの京都で住んでいることを痛感させられることがある。かつて、土木工学を専門としていた時代に耳にした強・用・美(ローマ時代に活躍した建築家のウィトルウィウスによるとされる)のそろった建築は、なかなか容易にはもたらされないということの実感でもある。

今日は夫婦そろって在宅勤務だったので、ランチはテイクアウトで済ませた。予約の時間から少し早くお店に着いたのもあって、少々店頭で待たせていただいたとき、石油ストーブの上に加湿用の平鍋が置かれていた。燃焼することで暖を取り、その熱で水を沸騰させて湿度を保つという、化石燃料の二重利用である。厳密には京町家とは言えないが、わりと古い木造建築ということもあって、こうした工夫で快適さが保たれている。

そんなランチの前には2つのZoomミーティングだった。一つは来週の国際ボランティア学会での発表の打合せで、もう一つが立命館SDGs推進本部によるリーフレットの内容調整だった。ランチ後は立命館大学サービスラーニングセンター関係の調整事をしつつ、いよいよ翌日に迫った大学コンソーシアム京都のFDフォーラムの資料確認と、国際ボランティア学会の役員としての素材確認、さらには来週月曜日の科研費で採択された研究のミーティング資料の準備と、立て込んでいた。結果として、来週月曜日の資料準備は完了しえず、研究分担者の皆さんの顔を思い浮かべながら、段取りの悪さを恥じた。

かつてアラジンのブルーフレーム(16型)を使用していた頃を想起
(Leica M9-P, 35mm, f/3.4, 1/8, ISO400)