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2017年8月28日月曜日

久々のリサーチミーティング

オールボー大学では新学期を控えている。オールボー大学の学生数は20,506人で、そのうち私が所属する人文学部は4,447人である。そのうち心理・コミュニケーション学科の定員は150人という。実際、学部(3年制)の卒業生が749名、修士(2年制)が892人という実績値(ちなみにオールボー大学では学部から修士に進学した場合にはダブルカウントをせず、5年の修学で卒業したとして捉える)から見ても、その規模での授業展開がなされていることに合点がいく。

今日は私の客員研究員としての受け入れ担当となってくださっている先生方と久しぶりにミーティングをした。まず、Mogens Jensen准教授と、6月22日のミーティング以降の動きについて共有した。また、ミーティングに先立ち、PBLに関していくつかの質問を投げかけていたので、それらについて意見交換を重ねた。その後、もう一人の受け入れ担当であるCasper Feilberg准教授も交えてランチミーティングをした。

ランチミーティングの際の話題は、学生が問題を掘り下げる上で教員はどのようにスーパーバイザーとして振る舞うか、であった。というのも、日本でのプロジェクト型の問題解決学習では、プロジェクトの進捗管理が中心になり、プロジェクトの終了時期に向かって帳尻あわせをしてしまうことが多いことを「問題解決学習の問題」として提示したためだ。二人の意見は、実際に起こった事例を取り上げる場合も、また現在進行形で起きている問題を取り扱う場合も、理論的な観点から接近できるよう、小集団での議論を促す点で通じていた。

理論的な観点から問題に接近するということはどういうことなのか、実際のスーパーバイズの場面を見ていないこともあって、まだ実感が湧いてこないところもある。しかし、これまでの理解に基づけば、授業としてプロジェクト型の問題解決学習が進められる上では、開講される学年で、その学期に即した学びの到達目標が設定されていることは確実であり、通常は座学で教える内容、文献購読により関心を促す学説などを各々が自学・自習して問題解決策の検討に積極的に適用することを指しているのだろう。日本での教育実践に引きつけるなら、学生たちが自らのアイデアに固執し誰かが立案した計画をただ進行するだけでは、問題解決活動の実施にはなるかもしれないが、問題解決学習の実践にはならない、と捉えるのが妥当となろう。ランチミーティングの終わりに、ブルデューの「ハビトゥス」という言葉が用いられ、PBLでは「学生たちに専門家としてのレディネスを高めることが教育目標だ」というCasperの整理に納得がいったので、また次回のリサーチミーティングの日程も決めたゆえ、さらに掘り下げていくことにしよう。