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2017年8月29日火曜日

フォアとバックの時間軸

今日は終日自宅で作業していた。月末に提出の日本心理学会の実践的研究への助成金の報告書執筆である。締め切り直前になって追い込みをかけるのは日本にいても変わらない。しかし、日本にいるときとは違って、圧倒的に予定帳には余裕がある。

フォアキャスティングとバックキャスティングという概念がある。簡単に言えば、時間の流れに対して目標にどう向き合うのかの姿勢の違いである。三段跳びの比喩を用いて説明すると、ホップ、ステップ、ジャンプの順で、できるだけ遠くに飛ぼうというのがフォアキャスティングである。バックキャスティングは最終的なジャンプの段階で自らが到達すべき地点を見越して、ステップの段階で到達すべき地点を見定めて到達するという具合である。

三段跳びの比喩を使うことで余計にわかりづらくなったかもしれないが、フォアキャスティングとバックキャスティングは釣りの世界でも用いられる用語である。ただ、私はプロジェクト学習の設計と評価においてよく紹介してきた。先般の北海道高校生自然環境ミーティングでも用いた。何より、自らの専門であるグループ・ダイナミックスでは、ヘルシンキ大学のユーリア・エンゲストーム先生の活動理論を意志決定の理論として用いるため、その理論を後支えとして、出来事に対する向き合い方を説いている。

その点で、今日は明日、報告書を仕上げるための準備を滞りなく終えた。フィールドワークの日程の確認、写真素材の整理など、である。「心理学者が信用されるのは確実なデータをもとに語るとき」とは、先般、ヨーロッパ心理学会でご一緒した際のサトウタツヤ先生の何気ないつぶやきである。ただ、会話もデータであると言う質的研究にあって、 その発話の主を敬いつつ、研究としての目的に対する結論として断定できる内容は何か、そのための適切な表現は何か、今日の準備をもとに明日吟味する。