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2013年9月6日金曜日

移動の効率と旅の情緒と


京都市のソーシャルビジネス支援事業による、島根県大田市、大森にある「中村ブレイス」へのスタディーツアーで、ゲストハウス「ゆずりは」に宿を得た。これは中村ブレイスの中村俊郎社長が手がけた40番目の地域再生拠点であるという。中村ブレイスでは、医療用コルセットや義肢・義足・義手等の義肢装具を手がける中、「ビビファイ」という商品名で知られる人工乳房もつくっている。このゲストハウスは、特にオーダーメイドでの人工乳房を求める方に、工房へ滞在した折、ゆったりとした時間を過ごしていただくため、2012年11月に新築された。

ただ、昼からの会議に出席しなければならなかっため、朝食を慌ただしくいただいた後、そそくさと京都へと戻った。ちなみに朝食は、昨日の懇親会の会場ともなった「咄々庵」で頂戴した。 ここは、徳川幕府の成立により、天領地となった後に代官所へ仕えていた地役人の武家屋敷であり、界隈で唯一現存することもあってか、国指定の史跡とされている。なお、「ゆずりは」も、「咄々庵」も、中村ブレイスから石見銀山株式会社に運営が委託されている。

石見銀山から京都に向かう旅程は、なかなか悩ましい。いや、これは京都に限ったことではないかもしれない。実際、昨日は、京都産業大学の大室悦賀先生が随行し、講師の役割を果たすはずが、前日からの大雨も重なって、東京からの移動が叶わず、不参加となった。私もまた、JR大田市駅からの鉄道ルート、あるいは出雲空港(出雲縁結び空港という愛称が付せられている)からの航空ルートなど、いくつか検討した結果、1日2本ある広島行きの高速バスで向かうことにした。

7時54分に大森バス停を出た高速バスは、途中、8時頃に世界遺産センターを、8時半頃に島根県立島根中央高校(ここは全国から生徒を募集し、入学後1年を経てコースを決定するという総合選択制をとるという、興味深い取り組みを行っているようである)に最寄りの川本合同庁舎前を通過し、道の駅瑞穂に置かれた田所バス停で休憩の後、予定より少し遅れて10時30分を過ぎたところで、広島駅新幹線口に到着した。約2時間半のバスに対して、「のぞみ」での1時間38分の乗車で京都に辿り着く。13時からは立命館災害復興支援室の事務局会議だったのだが、朝の段階で島根にいたという感覚は、どこか遠くに追いやられてしまう。移動の効率ばかりを追い求めてしまいがちだが、旅の情緒を楽しむことができる余裕を持ちたいものである。

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