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2021年2月6日土曜日

ユニークで豊かな書体に愛はあるか

長年のMacユーザーである。友人宅でNECのPC-8801markII SRで「信長の野望」を遊んだ中学生の頃、西武百貨店浜松店でMacintosh IIciなどを紹介するカタログを手にして造形美と高価格に衝撃を覚えたのが最初の出会いである。その後、1994年に立命館大学びわこ・くさつキャンパスのユニオンスクエア2階に設置されたオープンパソコンルームでLC475に触れ、その操作のわかりやすさに虜になった。同時に、政策科学部生がPowerBook 180を全員が所有していることに大きな嫉妬を覚えた。

Macユーザーは圧倒的なシェアを有するWindowsユーザーとのあいだで、いくつかの困難に直面してきた。1998年のiMac、そして2008年のiPhone 3G、それらが日本で(も)ヒットしたことにより、徐々にMacユーザーの困り事も減ってきたように思う。ただし、今でもなお、悩ましい問題の一つが、Microsoft Officeアプリケーションでのフォントのズレである。同じアプリケーションで同じフォントが指定されたとしても、具体的には「MS明朝」や「MSゴシック」という名前の書体で作成された文章も、フォントの処理方法が違う(象徴的なのはWindowsのOfficeではあらゆるフォントで「太字」にできるのに対して、Macでは「ウェイト」という概念で書体の太さが管理される)ため、レイアウトが崩れてしまうことがあるのである。

Windowsユーザーにとっては何の気なしに作成してMacユーザーに提供したファイルが、Mac上では見栄えが大きく崩れる場合があることなど、あまり想像がつかないかもしれない。一方で、古くからのMacユーザーであれば、ある種の想定内の出来事として、淡々と対応する。最近では2017年から科研費の応募書類において表作成機能の罫線枠をレイアウトに用いない書式になったことを引き合いに出して、作成側の意図と使用側の状況との差を説明することも幾度となくあった。それまではノスタルジーとして、Windows版も発売されていた「クラリスワークス」の秀逸さを示して、一層のわかりあえなさに浸ることもあったが、スマートフォンの浸透やペーパーレス化も手伝って、そもそもOfficeアプリケーションでの書類作成でのもどかしさは(いわゆる「神エクセル」の指摘や、データクレンジングへの注意喚起もあって)徐々に改善・解消の方向へと向いているだろう。

そんな中、今日は久しぶりにWindows機を起動した。お目当てはHG創英角ポップ体が使われたOfficeアプリケーション(Microsoft PowerPointファイル)のPDF化のためである。今月、2月20日に開催のシンポジウムの書類作成にあたり、話題提供者のお一人からお預かりしたファイルを、作成時の環境に近づけてPDF化を、と考えたのだ。OSに依存しない書類形式(Portableに扱うことができるDocumentのFormat)への保存のために、複数のOSを使うというのも、なかなかシュールである。ただ、そうして作成されたファイルをご覧になる方には、そうして届けられるプロセスにどのようなものがあるのかはあまり関心が向くことはなく、逆にそうしたプロセスに苦心や腐心することがある私は、むしろ届けられるファイルの作成環境にも興味を抱くことも多い。

久々に愛機を活用後にMicrosoft公式でMacでもHG創英角POP体が使用可の情報に触れました
(Nikon D40, Micro 40mm, f/4, 1/6, ISO 400)


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