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2015年4月2日木曜日

焦点・露出・幕の速度

世界初のレンジファインダーデジタルカメラの改良型、R-D1sを使い初めて2日目である。早速、カバンの中にしたためて家を出ることにした。いつもはギリギリまで何かをすることが多いものの、カメラを取りだし、構え、撮影する余裕が欲しいと、1本早い列車に乗ることができる時間に家を出た。そして、バス停に向かう道すがら、早々にカバンから取りだし、目の前に広がる世界にレンズを向けてみた。

レンジファインダーというのは、文字通り距離(range)を測る(find)機構のことであり、撮影範囲を確認する装置(ビューファインダー)との組み合わせて用いられる。一眼レフカメラあるいはミラーレス一眼カメラなどはビューファインダーもしくは液晶画面に表示されたレンズの実画像をもとに撮影するのだが、レンジファインダーでは異なる作法が求められる。ブライトフレームと呼ばれる撮影範囲を示したファインダー内に表示される枠を、使用するレンズにあわせて切り替えることではじめて、構図を決めることができるのだ。

親が使っていたオリンパスXAをよく借りたこと、大学生になってから日沖宗弘さんの「プロ並みに撮る写真術」を読んで中古のCanon 7を購入したこともあり、それなりにレンジファインダーでの撮影経験を重ねてきた。ちなみにXAはレンズの絞り値を決めるとシャッター幕の速度が自動的に設定される露出優先カメラだったが、Canon 7はセレンという物質が塗られた金属板への受光量から露出を算出する外部電源不要のセレン光電池式露出計が内蔵された機械式カメラであった。それ以前にもオートフォーカスのコンパクト(とは言えないものも含めた)カメラ(ニコンAD3、コニカBiGmini、オリンパスIZM300など)、電子式の一眼レフカメラ(ニコンF3)などを使ってきたこともあり、写真の原理については一定、理解を重ねてきたつもりである。ところが、今ではすっかり携帯電話やタブレット端末での撮影が増え、焦点と露出と幕の速度を合わせて、一枚の写真に仕上げていく感覚からは遠ざかってきていた。

R-D1sも中央部重点平均測光方式による絞り値優先自動露出での撮影が可能なのだが、一眼レフやミラーレスと異なり、どう写るかを確認してシャッターを切ることができない。特にブライトフレームではおおよその撮影範囲しかわかりえないこともあり、どんな絵(あるいは画)として目の前の風景を切り取るのかを考えつつ焦点と露出と幕の速度を合わせ、どんな風に切り取られるかを想像しながらシャッターを切る必要がある。ちなみに今はMマウントレンズについてはフォクトレンダーのノクトン40mmF1.4シングルコートしか持ち合わせていないが、レンズの癖との対話も撮影にあたっては重要な要素である。今日は應典院、京都市の中京区役所のプロジェクト科目の打合せ、立命館の災害復興支援関係の打合せなどと続いたのだが、行く先々というより、その道中で何度かカメラを構えることになり、はてさて、レンズ沼と呼ばれる泥沼の世界にはまらぬように、しかし時にはそんな危険な世界に足をつっこみながら、世界を見ていくことにしよう。


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