関西学院大学人間福祉学部実践教育支援室の室長を務める川島惠美先生のお招きで、関西学院大学の「今後の実践教育のあり方を考える研究会」にて話題提供をさせていただいた。川島先生とは、電子メール等で情報交換などをさせていただいたきたが、きちんとお会いしてお話をするのは、先般、関西学院の千刈キャンプで開催された催しが初めてのように思う。その縁結び役として「つなぎ手」になっていただいたのは、ブレーンヒューマニティーの能島裕介くんである。
インターネットを通じて簡単にやりとりができる中にあって、非公開の2時間の研究会に招く上で、川島先生は「つなぎ手」を求め、そして依頼状を手渡しいただくという手順をとっていただいた。こうしてお心配りをいただいた以上、招かれる側としては、どのように応えればよいのかを熟慮することになる。今回、私が臨んだ姿勢は「質問がなくなるまで、その問いに答えていく」というものであった。結果として、マクロビオティックなお弁当をはさんで、10時から14時まで、研究会のメンバーとスタッフの皆さんと語り合うことになった。
そもそも、研究会から私に求められたのは、立命館大学におけるサービスラーニングセンターの事例であったが、既に文献等で理論的観点について整理がなされ、さらには他大学への訪問調査も行われたとも伺っていたので、冒頭部分では「参加者からの自己紹介」よりも、研究会の活動を通じてわかったこと、さらには逆にモヤモヤしていることを伺うことから始めさせていただいた。すると、10名の方から、それぞれに悩みや迷い、さらには今後の展望などを伺うことができた。ここでは詳述しないが、そうしていただいた投げかけは、近いうちに、立命館大学サービスラーニングセンターのFAQにも盛り込んでいきたいと思うことが多数を占めた。招かれた側ながら、得るものがあったということ、これはサービスラーニングの鍵概念の一つ「互恵的関係(reciprocity)」と重なるように思う。
そもそも、「メリット・デメリット」を含め、「勝ち組・負け組」といった「戦闘」のメタファーは、一見、勝ち負けの論理から離れた「Win-Win」にも及ぶと考えている。それ以上に、この「Win-Win」こそが「良い関係」と捉えることに、少し憂慮を重ねている。なぜなら、互いに「勝者」であるという認識のままでいられるのは、利害関係に配慮した戦略的協調がなされた結果であって、それは両者とは別の領域に敗者を置く構図にあるのでは、と思うためだ。そういう意味で、お弁当をいただいてから、ある助手の方からの質問で、「サービスラーニングの手法で学んだ学生にはどうなって欲しいと思っていますか?」に対し、「自分の知らないことを知り、本を読み、文を書き、他人と語ることを楽しいと思える、そんな謙虚さを携えられるようになって欲しいですね」といった返しが意外だったようで、ぜひ、個人的かつ直線的な個体の成長ではない集団での学びの充実を図るセンターとして、今後、両大学のあいだで切磋琢磨しあう関係が育まれれば、と願うところである。
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