こどもの頃、「そんなことしたら雪が降る」と言われたことがある。どんなときに言われたかは思い出せないが、何か珍しいことをしたときに言われたことはよく覚えている。もちろん、珍しいことはするものではない、という戒めではない。それほど、驚いたと言いたかったのである。
静岡県の磐田市で生まれ育った私は、18歳で地元を出るまで、雪の中で遊んだ経験はない。たしか小学校の頃(2年生だったようにも思うし、既にプールの工事がなされた高学年だった気もする…)、校庭に雪が舞い、児童たちはこぞって校庭に走っていった気がする。そもそも温暖な地域の冬は、磐田原台地からの「空っ風」が吹くため、雪となるのは、ほぼ稀なのだ。それゆえ「雪が降る」という表現は、稀な状況を引き合いに出した圧倒された感覚の表出なのである。
今日はそんな静岡への帰省を予定していたのだが、朝から有楽町駅付近の火災により、叶わなかった。この時期、それこそ滋賀と岐阜の県境のあたりの降雪で遅れることはよくある話である。しかし、まさか東京の火災で5時間あまりも不通になるとは、文字通り想定外であった。しばらくは京都駅で様子を見ていたのだが、ハンドマイクを持った駅員が「東京・品川間の沿線火災により、上下線とも運転を見合わせており、新しい情報が入り次第お伝えします」と繰り返すばかりだった。
京都駅でTwitterの投稿を見ると、運転再開のためには火災の鎮火の後に安全確認が終えられる必要があるものの、相当の時間を要すると判断し、さらには運転見合わせとなって以来、東西に向かう人々でごったがえしたコンコースの状況から、たとえ運転再開となっても、列車にのる順番は相当、後になるだろうという見込んで、払い戻しをして帰宅することにした。ただ、新幹線の特急券はエクスプレス予約にて、乗車券はJR西日本管内にて購入したために、若干、手続きがややこしかった。ただ、こうした状況でも、運転再開時刻を見越して運行ダイヤから該当しそうな列車の指定券を買おうとする家族がいたり、そもそも東京駅と品川駅での火災なのに東海道新幹線全線がなぜ運行見合わせになるのか(要するに、ターミナル駅で「列車がさばけない」上、「途中駅での待避」にも限界がある、ということ)の説明を求める方がおられたりと、窓口対応の方々も大変そうであった。ということで、年始恒例の「お寿司」にありつけなかったので、近所の回転寿司に向かったのだが、やはり海の幸に恵まれた地元の味はなかなかのものである、ということを味わって、自宅にて静養を重ねた一日であった。
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