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2014年1月20日月曜日

描画と見聞


應典院でのコモンズフェスタ三昧から一転、今日は大学デーであった。朝一番には、東日本大震災で被害を受けた地域へ全国の大学生が足を運ぼうというキャンペーン「きっかけバス」の京都府チームの一人と面談をすることになった。全国規模で、横並びの取り組みを重ねているこの取り組みには、参加者が「現地に行く」ことが目的となって、「現地に行った」参加者に運営者が満足して終わってしかわないか、小さな懸念を抱いている。当の本人にも伝えたのだが、多方面から注目と期待が高い中で、この取り組みが大きな被害を受けた地域に行き続ける「きっかけ」となったとき、そうした人たちとどう向き合う覚悟や決意があるのか、「きっかけ」づくりをした担い手たちが「多様な価値観がある」と横に追いやらないことこそ、被災地の支援を掲げる上では大切となるだろう。

サービスラーニングセンターでの面談の後は、「Service Learning I」という講義であった。科目名がカタカナではないところからも明らかなように英語による科目であり、2005年度に文部科学省の「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)」に採択された「JWP (Japan and World Perspectives Program)」の一つである。私は2012年度から担当させていただいているが、昨年度は宗田勝也さん(難民ナウ!主宰)と大石尚子さん(BIMBI slow clothes代表)に、今年度は三田果菜さん(Happy Beauty Project代表)に、と、同志社大学大学院総合政策科学研究科のソーシャル・イノベーション研究コース時代にご縁をいただいた方々に非常勤講師をお願いし、共同担当という形で進めてきた。今日は15回目にあたる最終回ということもあって、この半年間のチームごとの活動内容が発表され、それらに対するコメント役として参加し、最後にYouTubeのトレンドマネージャー、ケヴィン・アロッカさん(Kevin Allocca)さんのTEDのプレゼンテーション「バイラルビデオが生まれるメカニズム(Why videos go viral)」から、新しいことで人に影響を与えるには、「Tastemakers」(流行仕掛け人)、「creative participating communities」(創意あるコミュニティ)、「complete unexpectedness」(全くの予想外さ)が鍵になるのとされる、と伝えた。

英語でのサービスラーニングの講義の後は、月1回のサービスラーニングセンターの運営会議、関係者との打合せ、そして公開での「ボランティア・サービスラーニング(VSL)研究会」と続いた。運営会議では次年度事業計画の立案に向けて、特に復興支援関係についての意見交換が主要な審議事項であった。その後の打合せでは、いわゆる課外活動(最近は正課外プログラム、と呼ばれている)のあり方と、わずかな時間でサービスラーニングセンターによる次年度のインターンシップの方向についてのすりあわせが行われた。そして、VSL研究会では筑波大学の唐木清志先生をゲストに、「アメリカ公民教育におけるサービスラーニングと日本型サービスラーニングの方向性」というテーマで議論を深めた。特に、学びの成果の「ふりかえり(リフレクション)」について問いを投げかけさせていただいたが、あいにく次の予定があって、豊かな討議の場に参加することは叶わなかった。

夕方には立命館から同志社へと向かった。週に1回、「母校」から「古巣」でのお役のためである。2006年から担当させていただいている「臨床まちづくり学」では、「時間と空間の設計概念〜「いま・ここ」 の場へのまなざし〜」と題して、状況論についての講義と、その理解のために、「自然科学だけが科学ではない」ことを菊池誠先生の「まん延するニセ科学」(NHK「視点・論点」、2006年12月18日放送)、チャイルド・ケモ・ハウスの取り組み(毎日放送「VOICE」、2013年9月10日放送)、マザーハウスにおける山口絵理子さんの姿勢(Eテレ「ようこそ先輩課外授業」、2012年10月27日放送)を使い、場づくりの特徴に迫った。何とも、充実した一日であったが、改めて「百聞は一見にしかず」そして「百書は一描にしかず」(文字で書くよりも、図や表で描くことで抽象化や系統化が図られるということ)を感じつつ、夜の懇親会は失礼させていただき、久しぶりに自宅で夕食をとることができた。


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