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2016年10月2日日曜日

こういう状況でも働く

 石巻専修大学での日本災害復興学会で、改めて復興と言葉について考えている。特に昨日の分科会で話題提供をされた石巻日日新聞の武内宏之さんから、いくつか示唆を得た。例の6枚の壁新聞について「『ありがとう』ということばより、『見たよ、こういう状況でも働いている人がいる、私もがんばらないと』」という反応が意外で、うれしかったという。が、「資料的価値はあるが、今となって生活情報を中心に心をつなぐという方針がよかったか、むしろ現実とのギャップを広げてしまったのではないか?」と自問を重ねているという。

 初日の懇親会の前、武内さんと同じ分科会で話題提供された、せんだいメディアテークの北野央さんらと、武内さんが館長を務める石巻ニューゼにお邪魔した。6日わたり発行された壁新聞は、その後3セットが遺った。それぞれ米国の報道博物館に、横浜の新聞博物館に収められ、後の1つが石巻で常設展示されている。改めて自己紹介すると、ボランティアバスに向けて商店街の方々が掲げたボードをお持ちいただいた。

 「皆、ジャーナリストだった。」武内さんは言う。「メディアにはかっこいい言葉を言おうとする、しかしあのときは、時間をかけて正確に思い出す人たちばかりだった」と。自ずと記者も丁寧に聞き取る姿勢になったという。

 私の発表は2日目の午前に充てられた。果たして現場にうまく寄り添えているか。午後は新潟へ向かう。武内さんらの姿勢に背筋を糺したい。

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