毎週水曜日の15時から、オールボー大学の文化心理学研究センターでは「キッチンセミナー」が開催されている。大学の夏休みが明けたこともあって、キッチンセミナーもまた再開された。春は4月26日に最初に参加して以来、何回か欠席したものの、比較的連続して出席してきた。この秋には発表もエントリーしたことも重なって、余計に参加への意欲が高まっている。
秋のセメスターの皮切りは、ドイツのマクデブルク・シュテンダル大学のギュンター・メイ(Günter Mey)先生とオールボー大学のスヴェンド・ブリンクマン(Svend Brinkmann)先生の共同発表だった。共に質的研究について取り組んでおり、今から3年前、ギュンター・メイ先生がサヴァティカルでオールボー大学に滞在していた2014年にスヴェンド・ブリンクマン先生らと共に行われたディスカッションが、2015年に「Integrative Psychological and Behavioral Science」の45号(p.135-161)に掲載されている。キッチンセミナーの参加者には予めこの論文が送られており、私も目を通して参加したが、質的研究における基本的な考え方を巡って(例えば、データは公開されているべきか、研究者は対象に対して外在的であるべきか、対象とのコミュニケーションの上でどのようにして概念を共同構築できるか、など)大変興味深い議論が収められている。
それゆえ、2時間のキッチンセミナーのあいだも、多岐にわたる議論が繰り広げられた。今日はキッチンセミナーの直前にヤーン・ヴァルシナー先生によるゼミも行われていたようで、そのままの流れでヴァルシナー先生も参加され、なおのこと深い質問とコメントが行き交うことになったように思われる。キッチンセミナーの名のとおり、今、旬の研究についての議論のため、ここで詳細については触れないこととするが、主な論点は質的研究を学術的に、科学として展開する上で、研究者に求められる倫理に焦点が当てられていたように思う。
キッチンセミナーでは15分の話題提供の後でディスカッションと聞いていたが、今日は2人の発表ということもあってか、そもそもこの2人の発表だからなのか、話題提供の時間が長く取られた。ちなみに話題提供では「Performative Social Science」という、芸術文化を取り入れて研究成果を公表していく「Arts-informed research」なる観点が示された。具体例としては、研究成果を「ソーシャル・フィクション」として小説にまとめた『BLUE』(Patricia Leavy, 2005)や、乳ガン当事者への研究を演劇にした『Standing Ovation』(Ross Gray and Christina Sinding, 2002)などが紹介された。ヴァルシナー先生による「方法論や手法にこだわらないとしても、研究として最低限求められるものは?」という問いかけや、大学院生からの「今日参加している皆さんが捉えている質的研究について比べてみては?」という投げかけが終了後にも私に響いており、今後「Performative Social Science」について、少し掘り下げていくことにしたい。
秋のセメスターの皮切りは、ドイツのマクデブルク・シュテンダル大学のギュンター・メイ(Günter Mey)先生とオールボー大学のスヴェンド・ブリンクマン(Svend Brinkmann)先生の共同発表だった。共に質的研究について取り組んでおり、今から3年前、ギュンター・メイ先生がサヴァティカルでオールボー大学に滞在していた2014年にスヴェンド・ブリンクマン先生らと共に行われたディスカッションが、2015年に「Integrative Psychological and Behavioral Science」の45号(p.135-161)に掲載されている。キッチンセミナーの参加者には予めこの論文が送られており、私も目を通して参加したが、質的研究における基本的な考え方を巡って(例えば、データは公開されているべきか、研究者は対象に対して外在的であるべきか、対象とのコミュニケーションの上でどのようにして概念を共同構築できるか、など)大変興味深い議論が収められている。
それゆえ、2時間のキッチンセミナーのあいだも、多岐にわたる議論が繰り広げられた。今日はキッチンセミナーの直前にヤーン・ヴァルシナー先生によるゼミも行われていたようで、そのままの流れでヴァルシナー先生も参加され、なおのこと深い質問とコメントが行き交うことになったように思われる。キッチンセミナーの名のとおり、今、旬の研究についての議論のため、ここで詳細については触れないこととするが、主な論点は質的研究を学術的に、科学として展開する上で、研究者に求められる倫理に焦点が当てられていたように思う。
キッチンセミナーでは15分の話題提供の後でディスカッションと聞いていたが、今日は2人の発表ということもあってか、そもそもこの2人の発表だからなのか、話題提供の時間が長く取られた。ちなみに話題提供では「Performative Social Science」という、芸術文化を取り入れて研究成果を公表していく「Arts-informed research」なる観点が示された。具体例としては、研究成果を「ソーシャル・フィクション」として小説にまとめた『BLUE』(Patricia Leavy, 2005)や、乳ガン当事者への研究を演劇にした『Standing Ovation』(Ross Gray and Christina Sinding, 2002)などが紹介された。ヴァルシナー先生による「方法論や手法にこだわらないとしても、研究として最低限求められるものは?」という問いかけや、大学院生からの「今日参加している皆さんが捉えている質的研究について比べてみては?」という投げかけが終了後にも私に響いており、今後「Performative Social Science」について、少し掘り下げていくことにしたい。
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