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2023年1月7日土曜日

10時間の研究会

月曜日の成人の日まで、3連休として過ごしている方も多いと思われる土曜日、朝から大阪に向かった。グランフロント大阪の7階にある大阪ガスネットワーク株式会社の都市魅力研究室にて、同志社大学大学院総合政策科学研究科の「コミュニティデザイン論研究」の講師陣によるスピンオフの研究会のためである。12月に予定されていた分を合同開催としたこともあって、朝から10時間、お昼休憩を挟みつつ、2つのテーマについて議論を重ねることとなった。前半は「計画」について、後半は「共生」について、という具合に、茫漠としたテーマのようだが、それぞれ、コミュニティ・デザインの手法について、コミュニティ・デザインの担い手や対象や協力者について、深めることが目的であった。

テーマ「計画」は、弘本由香里さん(大阪ガスネットワーク)の進行のもと、高田光雄先生(京都美術工芸大学)が話題提供をされ、それに私がコメントしていく、という流れだった。高田先生からは、ご自身の捉えるコミュニティ・デザインの概念について各種文献を紹介しつつ、建築学におけるコミュニティ論のもとでの研究フィールドへの向き合ってこられた姿勢と現場と共に開発した地域開発の手法について、そしてそれらを結び合わせて行ってきた6つの実践的研究の概要について語られた。とりわけ印象的だったのは、ハードとソフトの両面での都市計画では「白紙に絵を描く」という観点ではcity planningでもcommunity designもほぼ同義であるが、住民参加のまちづくりや歴史的市街地の再生など、人の営みに着目していけば、community managementの観点がより重要になるのではないか、と指摘されたことである。その他にも、関西を主なフィールドにされてきたものの、東京からの情報発信により、むしろ現場への関心が高まる、といった工夫をされていたことなども興味深かった。

テーマ「共生」は、前田昌弘先生(京都大学)の進行のもと、渥美公秀先生(大阪大学)が話題提供され、それに川中大輔先生(龍谷大学)がコメントしていく、という流れだった。渥美先生からは、ご自身の研究歴と災害史との関係をまずお話いただいた上で災害史に対してご自身の研究における手法の変遷が示された上で、柄谷行人の「世界史の構造」での交換様式についての理論について簡潔に解説された後、共生を「A+B→A’+B’+α」という化学反応式のように捉えたとき、演算子(上掲の式では「+」)の意味、各項(AとB)の集合体の境界、さらなる項(C、D…)の可能性と影響など、理論的かつ論理的に、各々のコミュニティ・デザインに対する認識が揺さぶられることとなった。そこに川中先生が社会学を中心に怒濤のように文献を引用し、ご自身の教育実践の様子も紹介しつつ、「共生の難問・難所」を突き詰めていく展開となった。

この研究会は非公開ながら連続的に展開されており、既に1回目の新川達郎先生の内容が大阪ガスネットワークのエネルギー・文化研究所のホームページで公開されている。そして、今回の内容もまた、後日、公開される予定である。ただ、高田先生の話題提供に対する私の応答部分は相当の加筆修正が必要になりそうで、やや気が重い。と同時に、まだまだ浅学であることを自覚し、高田先生や渥美先生、そして圧倒的な読書量や丁寧な読解を通じて一つの場に臨む若手の皆さんの姿勢に、自らの振る舞いを内省する契機をいただけることに感謝している。

皆でおそろいのお弁当をいただきました
<Nikon Z30, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR [36mm/a full-frame equivalent 54mm], f5.3, 1/60, ISO320>

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