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2014年4月2日水曜日

行く道を来た道に聞く

「行く道は来た道に聞け。」この10年ほど、私と関わりのある方であれば、何度か、この表現を使っている場面に立ち合っていることだろう。これは、上町台地からまちを考える会でご一緒させていただいた、コリアNGOセンターの宋悟さん(現在はコリア国際学園の事務局長)に教えていただいたものである。単純に「振り返ろう」ではなく、「立ち止まろう」、「考えよう」、「認識を改めてみよう」といった教訓を見いだすことができる言葉だと、常々感じてきた。

今日は朝から應典院にて年度当初のミーティングが行われた。この席で、1994年の「應典院再建委員会」の活動本格化から現在に至るまでの組織や事業の変遷について整理した資料を用いることにした。1997年に再建された應典院も、その創建は1614年である。さすがに400年の「来た道」に聞くのではなく、再建計画の策定から20年を振り返りつつ、当面の「行く道」を検討することになった。

私の専門とするグループ・ダイナミックスの中でも、人間科学という視点に力点を置く流派では、未来志向の意思決定(decision making)は過去志向の意味創出(sense making)の双方が必要とされる。そうした思考を重ねる際には、一つのロープの両端に馬が繋がれているかのような状態にさらされることもある。いわゆるダブルバインドである。そうした状態においては、両側の壁が迫ってきて押しつぶされそうな感覚に陥るジレンマ状態と違って、身が引き裂かれるかのような思いに浸る。

図らずも、午前中に「行く道」のために「来た道」を見つめた今日は、夕方から宋さんにお目にかかる日になった。新しい学校づくりに取り組む宋さんから、リベラルアーツの中でもリーダーシップに視点を当てた講義群をつくりたいと相談をもちかけられたためだ。奇しくも今、私の所属は教養教育を推進する部署である。秋から冬にかけての講義群となるが、仲間たちと共にお引き受けをさせていただき、そこでもまた、来た道と行く道の両方を見つめていく機会としよう。

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