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2017年5月14日日曜日

花と風と

「それでも/花は咲き/野に風は吹き/こんなにも/誰もいない」とつぶやいたのは、和合亮一さんである。和合さんは福島県在住の高校(国語)教師で、詩人でもある。東日本大震災の後、既に始めていたTwitterに「詩の礫」と題して連続投稿を重ねられ、冒頭に示したものは2011年3月31日の朝7時33分にツイートされたものだ。私は和合さんの取り組みや、冒頭の詩を、2011年4月29日にテレビ朝日系列で放送された「つながろう!ニッポン」の中で、大竹しのぶさんの朗読により知った。

今、住んでいるオールボーの住まいでは、福島が置かれた状況とは全く異なるものの、厳しい冬を越え、日が高くなると共に芝生のあいだから顔をのぞかせるタンポポたちを2階の窓から見渡す中で、ふと、冒頭の詩を想い起こした。5月の今も、日中も摂氏20度を超えず、最低気温は1桁である。日本では摂氏30度のまちもあるという。果たして、帰国したとき、身体はついていくことができるだろうか。

気候は異なったとしても、5月の第2日曜日が母の日ということは、どの国でも変わらないようである。Facebookのタイムラインには、感謝する側、される側の投稿が断続的に並び、そしていくつかはデンマーク語の広告が挟まれていった。その中には、「母の日プロジェクト」に取り組んでいる尾角光美さんの投稿もあった。尾角さんは19歳のときに自殺で母を亡くした経験をもとに、リヴオンという活動に取り組んでおり、現在は英国のヨークにある大学院にて研究生活を送っている。

日本時間で母の日の夕方、デンマークでは朝、実家に電話を入れてみた。電話口には母が出た。「プレゼントは声?」と尋ねられたが、7月にフィンランドとデンマークへの旅で迎えることになっているので、その際に、と伝えた。距離と時間を超えて、母の日はそれぞれに過ぎていく。


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