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2017年5月22日月曜日

学生が個人化し消費者的にならないように

すっかり季節は夏である。木々の緑が目映い。そして目に飛び込んでくる花の色も増えてきたように思う。青い空とのコントラストが、何とも心地よい。

今日は午後にリサーチミーティングがあり、遅めに大学へと向かった。オールボー大学で客員研究員として受け入れていただくにあたって、いわゆるホストプロフェッサーをどなたかに担っていただかなければならなかったのだが、立命館大学総合心理学部のサトウタツヤ先生のご紹介で、昨年の夏に横浜で開催された国際心理学会のために来日されたMogens Jensen先生と出会えたことにより、今、こうして1年間の滞在をさせていただけている。今日のリサーチミーティングもMogens先生に設定いただけたものである。4月27日に、オールボーのボランティアセンターにインタビューにお邪魔した際、副センター長のシャーロットさんから名前が出ていたLars先生と引き合わせていただいたのだ。

Lars Skov Henriksen先生の専門は社会学で、社会福祉の分野のボランティア組織や政策を関心領域とされている。お会いするにあたり、英語で記された論文に目を通し、3つの質問を考えて臨んだ。ご自身が取り組んでおられる教育法について、ニュー・パブリック・マネジメントと市民社会論との拮抗の時代とも捉えられる中で大学教育が果たす役割は何か、そして大学と地域が連携する際に求められる倫理的側面にはどのようなものがあるか、である。どちらかというとマクロな社会学であるため、ミクロな視点からの問いは不適切かとも思われたが、ご自身の研究内容については少なくとも10本の英語論文があるため、Mogen先生も同席いただいている心強さも重なって、それらの感想と共に、投げかけさせていただくことにした。

質問を投げかけつつも、やはり対話が重視されるデンマークたるゆえんか、Lars先生からも問いが投げかけられることとなった。立命館大学のサービスラーニングセンターで連携する団体の特徴は?日本のボランティアの参加率は?当事者団体の活動はいつ・どのような事柄がきっかけで盛んになったか?PBLとサービス・ラーニングとは教育手法としてどのように関連づけられるか?などである。その上で、Lars先生とMogens先生との対話では、講義による知識の獲得とあわせてゲストレクチャーとフィールドビジットに加え学生たちには実践的な学びとして地域の組織(英語ではassciation、デンマーク語ではforening)でのボランティア活動などを促している、教育と地域貢献はそれぞれに大事だが地域社会での活動を何らかの手段として動機付けをすると学生が個人化(individual)し消費者的(consumeristic)になる傾向が避けられない、スカンジナビアの国々では自立(independent)と自律(autonomy)という2つの要素を趣味の領域から社会的な活動までそれぞれに大事にされている、といった観点を得た。それぞれ、新しい観点というよりも、改めてこれまで何を大切にしようとしてきたのかを見つめ直すことができたのだが、今後もまた授業見学や、実践的なプログラムを展開している人や組織を紹介いただけるとのことであり、ご縁に感謝である。



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