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2007年1月9日火曜日

質的研究入門

 成人の日でお休みの今日、日本NPO学会第9回大会の運営委員会が開催された。大阪商業大学で、である。なぜ大阪商業大学かというと、3月17日から18日に開催される大会の会場校のためだ。ICOCAもPiTaPaも使えない近鉄奈良線の「河内小阪」から徒歩5分少々の場所にある。

 私は運営委員として2つの企画を行うこととなっている。一つはワークショップで「ボランティア・NPOの実践と質的研究」というものだ。もう一つはエクスカーションで「なにわのまちの探検隊」というものである。ワークショップは何となく馴染みが深くなってきたことばかもしれないが、エクスカーションとは何のこっちゃ、という方に簡単に説明すると、要は「遠足」である。

 中でも、「ボランティア・NPOの実践と質的研究」は、現場に出て行くことで研究者は何となく社会の役に立てている、といった「変な誤解」を解いていくために、意義深い機会だと認識している。というのも、今回の日本NPO学会はテーマの一つに「理論と実践の架橋」がある。そのテーマに向き合う方策として、このワークショップの実施が挙げられ、さらに企画者は私、となった。せっかく頂戴したチャンスを最大限に活かすには、ここまで培ってきた人脈を、ということで、大阪大学時代に紡ぎ上げたネットワークを最大限に活用させていただくことにした。

 もちろん、「質的研究」を取り上げる上では、「質的研究ではないもの」への関心も忘れてはならない。よく「質」と対置の関係にあるのは「量」とされるが、いずれにせよ、研究の素材(素材)として、何をどのように扱うかを丁寧に考えなければならない、という点では共通する。そういえば、その昔、理科で習った「質量」という考え方は「重力」生み出す元という概念だったことに着想を得れば、「研究」の重さを生み出す要素として「質」も「量」も大事だ、というような「つかみ」か「オチ」が使えそうな気がする…。ともあれ、知る人が見れば「内輪で固めた」ワークショップとなるのだが、それでも「現場で取り組んでいることをいかにして研究に仕上げていけばいいのか」に悩んでいる方にとっては、最高のワークショップにしたいと考えている。





質的研究入門:<人間の科学>のための方法論




社会が急速に変化し、その結果、生活世界が多様化することによって、心や社会を扱う研究者の前には、これまでにないような新しい社会の文脈や視野が現れてきている。こうした状況においては、これまで研究者たちが当たり前のように用いてきた演繹的手法(既存の理論モデルから研究の設問と仮説を導き出して、それらを実証的データと比較し検証する)は、研究対象の多様性に充分対応できなくなってきている。このときに取り得る別の道は、帰納的な研究の戦略である。つまり社会の中の現象にアプローチするために、厳密に定義された既存の概念と理論から出発する代わりに、問題を大まかに示すだけの「感受概念」を出発点とするのである。だからといってこの感受概念が先行の理論的知識とはまったく関係がないとは言えない。このとき質的研究に何が独自なのかというと、量的・演繹的方法を用いる場合と逆に、実証的データから新たに理論が作られるという点である。そしてこの場合、知と行為はあくまで地域的(ローカル)なものとみなされるのである(Geertz 1983)。



Flick(1995) 小田・山本・春日・宮地(訳)pp.4-5





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