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2007年1月12日金曜日

キャリアの教科書

 新しい年がはじまって最初の出講日となった。今年度は後期の木曜日1限目には甲南女子大学(文学部多文化共生学科)で「NGO論B」という科目を担当している。それが終わると、立命館大学びわこくさつキャンパスに移動し、理工学部の環境システム工学科で「環境管理調査実習」という科目を担当している。前者は90分の座学であるが、後者は135分間の変則時間割で、地域調査なども含めた動学である。

 この時期になってくると、普段着で参加していた学生の一部がスーツ姿になっていることがある。就職活動が「終わっていない」という可能性もあるが、おおかた「徐々に始まった」学生たちである。スーツの着こなしなども、まだ板についていないのが、なんとも初々しい。目の前に広がる風景が変わると、やはり講義のなかで挟むことばや、また取り上げる事例も変わってくる。

 エンプロイアビリティ(emproyablity)ということばがある。雇用(emproy)と能力(ablility)の足し算で出来上がっていることばだ。ただし、このことばは、雇う側ではなく、雇われる側を範疇としたものである。要するに、自分自身が誰かから必要とされるかどうか、その価値の総体を表す、と言ってよい。

 今日の甲南女子大学の講義では「ベロタクシー」の取り組みを紹介した。代表の方が20代で始めた「おしゃれ」な自転車タクシーの取り組みには、弘意味で同世代の受講生たちに感銘を与えたようだ。立命館大学の講義では、自分自身も昔同じ学科(環境システム工学科)にいたという経験から、「地域計画とは何か」について、得意のたとえ話を用いて話をした。いずれにせよ、私自身が現場に関わっているからこそ伝えたい話が多いのだが、どうも現場に対して思いを馳せるところまで関心を向けられていないような気がしており、さしずめ「昔取ったきねづか」を披露するだけに止まってしまっているのではないかと、若干気になっているのであった。



キャリアの教科書

第3章 自己価値をつくりだす場所を得る(抜粋)




 現場での実体験がなければ、意見を求められても、コメントに迫力がこもらない。

 相手を「この人はわかっているな」と思わせることができるのは、現場で、自分自身が感覚器官のすべてを使って得た情報の裏付けがあるからである。

 自分に自信がもてるかどうかは、エンプロイアビリティの重要な要素になるというだけでなく、プロとしてあたりまえに仕事をするための絶対条件だ。

 自信の源になるのは資格でも学歴でもない。自分がした現場体験なのである。

 自分がやっていることのなかに、「自分がやりたいこと」につながる要素を見つけることができ、自分を磨いていくことができるなら、それは、かならずフィールドワークになる。



佐々木(2003)pp.81-82





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