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2018年2月10日土曜日

黒い影

このところ、来週のアメリカ行きの準備を自宅で行っている。行き先は2箇所である。1つはコネティカット州のウェズリアン大学で、災害復興をテーマにしたミニレクチャーをさせていただくことになっている。もう1つはカリフォルニア州のサンタクララ大学で、オールボー大学の心理学科と立命館大学サービスラーニングセンターとの比較研究を発表する。

この数日、特に時間をかけているのは、最新の情報をつかみ、英語の素材を探すことである。特にウェズリアンでは、福島の事柄に関心があると伺っている。福島県や復興庁でも、英語での情報を提供しており、それらをもとに資料を創りあげていく。一方で、放射線量の情報を集めていくと、日本の観測情報は比較的集めやすいものの、米国内での観測情報は詳細にはつかむことができないことがわかる。

ウェズリアン大学でのレクチャーのスライドは、立命館大学平和ミュージアムの名誉館長でいらっしゃる安斎育郎先生の言葉で締めることにした。隠さない、ウソをつかない、過大(過小)評価しない、の3つである。日本で初めての原子力工学専攻の1期生として博士の学位を取得し、放射線防護学を専門としつつも、放射線の影響について積極的に発言を重ねたところ、出身大学内でのアカデミックハラスメントに合い、これらの3つを糧として伝え続けていらっしゃる。そこで、安斎先生と私の関わりを紹介しつつ、「Do not hide, Do not lie, Do not underestimate」と並べたスライドを作成している。

資料作成に一息つけると、黒い影が目に入った。特に冬のあいだ、デンマークの方々は黒を好んでお召しになる。クリーニング屋さんがない、常に黒なら迷わずに済む、落ち着いた色なので無難である、など、いくつかの合理的な理由から習慣となっているという見立てに、それぞれ合点がいっている。思えば、「なぜ」と問うことの大切さを学んだのは、1995年に受講した安斎育郎先生の「自然科学概論」という授業だった。


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