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2018年2月18日日曜日

収穫によって生まれた物語

国際PBL学会、3日目である。今日は夜にポスターセッションでの発表が控えていた。昨日に続いて朝一番は基調講演から始まったものの、当初のプログラム(MIT D-Labの創設者のAmy Smith先生による「プロジェクトにもとづく学習:誰が舵取り役なのか?(Project Based Learning: Who’s at the Helm?)」)とは異なって、UCバークレーのAshok Gadgil先生による「貧困地域における問題解決学習(Problem-Based Learning relavant to resource poor communites)」とされた。結果として、いわゆるロジックモデルを適用して、よい波及効果のためには結果から成果を導かなければだめだ、という、線形的な発展(そして、ウィキペディアやテレビの世界で知ったことに留まるのではなく、行動を通して社会に影響を与えること、そのためには因果関係が大事にされる必要がある、という演繹的な議論)が語られることになった。


基調講演の後には、分科会に参加した。昨日からの傾向として「実践の報告」と「実践に対する質問紙調査を通じた有効性の証明」の2つがよく見られる。実際、午前中の分科会では3つの発表がなされたものの、その傾向から外れてはいなかった。昼食の後は「オンラインと混合学習環境における問題解決学習と能動的学修(PBL and Active Learning in Online and Blended Learning Environments)」のパネルディスカッションに参加した。パネルディスカッションということもあって、事例紹介が中心となったものの、ステージのない部屋での開催とあって、フロアから「少なくとも2000年以上、対面で対話してきたのだから、ツールの話に特化するのではなく、人間関係を構築していく上でのマナーの問題に力点を置くべきでは?」という率直な投げかけがなされ、その後の議論の幅が広がっていったように思う。


夕方もまた、分科会に参加した。ここでは2つの収穫があった。一つはカード方式によるロールプレイングゲームを通じた他者の環境を想像することによる倫理教育の実践事例に触れ、実際に用いているカードをいただいたことである。もう一つは、アイルランドのダブリン大学から来られたTerry Barrett先生によるPBLの新著(『A New Model of Problem-Based Learning: Inspiring Concepts, Practice Strategies and Case Studies form Higer Education』さしずめ『問題にもとづく学習の新しいかたち』もしくは『PBLの新潮流』、副題は『学びを駆り立てる構想と実践の長期計画及び高等教育での実践事例』)を日本語で翻訳させていただく諒解を得たことである。


そうした2つの収穫の後で、ポスターセッションにて、オールボー大学心理学科と立命館大学サービスラーニングセンターの実践事例の比較研究を発表した。ここにはTerry Barrett先生もお越しいただき、比較的長時間にわたって対話をさせていただくことになった。今、学会長がブラジルのサンパウロ大学にご所属というノリもあってか、ポスターセッションの会場がポットラック(持ち込み形式の)パーティーの会場と繋がっているという環境であり、さらには持ち込むものの中にはアルコールも含まれていて、和やかな雰囲気の中で研究交流が深められた。


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