ブログ内検索

2016年4月9日土曜日

賑わいを祭に見まがう

 田舎暮らしに慣れてきたものが、急に都会にやってくると、その人の多さにとまどうという。私もまた、その一人だと思われる。以前、あるテレビ番組で出演していた方が「今日は何か祭があるのかと思った」と、都心の賑わいを表現していた。桜舞う京都の土曜日は、いつもに輪をかけて、どこも混雑していた。
 朝は開館時間よりも早く、余裕をもって細見美術館に向かった。会期が明日までに迫った春画展の鑑賞に、である。既に通常より開館が15分早めると告知されていたものの、美術館の外周の際までの入場待ちに、さらに5分ほど早められると告げられた。ともあれ、比較的待ち時間なく入館できたものの、館内は大混雑、加えて何とも言えない淫靡な雰囲気や言葉が行き交う状況が重なって、すっかり疲れ果ててしまった。
 10時半ごろには今日までが春の特別公開とされた駒井家住宅に伺った。ヴォーリズの昭和初期の作品である。ここもまた、疎水の桜の見頃と相まって、カメラを携えた方が予想を超えて訪れていた。「やっぱり自宅が一番」ではないが、むしろそう思えるよう、家の片付けをせねばと決意を固めつつ、手作りの味に安らぎを求め、妻の馴染みの喫茶店で昼食をいただいた。
 午後は、昨年夏に新装開店の老舗の書店を訪れた。以前から関心のビルの5階の喫茶店にもお邪魔した。が、朝からの春画がこたえたのか、晩ご飯を前に、うたた寝に落ちた。北欧などでの落ち着いた暮らしを夢想する春である。

0 件のコメント:

コメントを投稿