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2017年12月19日火曜日

読んで査べる

冬至を前に澄み渡る朝焼けを見て、清々しい気分になったこともあって、今日はある論文へのコメントを書くことに集中して取り組む一日となった。調査され、分析され、そして書き上げられてきた論文である。一連の流れにかけられた時間に比べ、読む時間は圧倒的に短い。だからこそ、読み終えた後、丁寧にコメントを重ねるよう努めている。

同じ専門分野の人が読み、公刊されるにふさわしいかを判断するプロセスを査読という。これが学術論文と商業出版と違う最大の点である。商業出版であれば、出版費用が調達できているかどうか、など、事業として成り立つかどうかが問われる。また、内容面では編集者が介在・介入することによって、出版に資する質が担保される。

学術論文では、査読者が介在しても、介入することが前提とされていない。書き手が尊重された上で、論理の一貫性、また関連する先行研究との整合、また適切にデータが分析されているかを確かめ、指摘し、確認する。匿名の相方からのツッコミ、などと表現してみると、余計にわかりにくなってしまうだろうか。ともあれ、こうした査読のスタイルはピアレビューと言われる。

デンマークで過ごす中、いわゆる大和言葉に関心が向いている。大和言葉への置き換えについては、新幹線の愛称が「キボウ」ではなく「のぞみ」となったのが好例である。(参考:「阿川佐和子さんは新幹線「のぞみ」の名付け親?」 スポーツ報知/2017年2月4日、古くは2007年の「週刊文春」(3月15日号)の連載「阿川佐和子のこの人に会いたい」での葛西敬之氏(JR東海会長:当時)との対談でも紹介)査読を大和言葉にするとどうなるか考える中で、訓読みで「査べる」という表記があることを知った。検査や査察など、あまりよい印象が思い浮かばない「査」の字に対して、調べものを通して新たな知識を得ることができた。


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