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2013年2月14日木曜日

「ずれ」を楽しむ

約1週間のオランダとベルギーの旅も、終わりを迎えた。最終日の夜、この間、通訳などでお世話になった奈良ゆういちさんに、小池真理子さんの小説にも「白鳥亭」として登場したという、アムステルダム北の郊外「ウォーターランド」にあるレストラン 「Pannenkoekenhuis De Witte Swaen」連れていっていただいた。お店の名前に「パンケーキハウス」と掲げられているとおり、ここでは60種類ものメニューが提供されている。数あるパンケーキの中でも、ベーコンとアップルのパンケーキとトマトとチーズのパンケーキ、そして鹿の背中(要するにフィレ)肉のソテー、そしてチーズフォンデュでいただいた。

当たり前のことながら、あこの一週間は調査三昧だったので、最終日の午前中はアムステルダムの美術館巡りをすることにした。先にスキポール空港で「」まずは9時から空いている国立美術館に向かった。以前、これまた調査のために、KLMでフィンランドに行った折、トランジットの短い時間で訪れた場所でもある。今回はそれよりは時間があったものの、それでも急ぎ足で回った中、最後に目にした、1768年の時計(Pendule)と、2008年のMaarten Baas(マーティン・バース)による人間時計「grandfather clock」(ちなみに、2013年4月13日のフルオープンに向けたカウントダウンも、マーティン・バースによる)との対置が印象に残った。

より多くの時間を割いたのは、アムステルダム市立美術館である。とりわけ関心をひいたのは、1月25日から4月28日まで展示されている、Guido van der Werveによる映像作品「NUMMER VEERTIEN, HOME」であった。英語タイトルは「NUMBER FOURTEEN, HOME」となるのだが、その名のとおり、14の「組曲」を通じて、「ふるさと」に戻る、というものである。ショパン、アレキサンダー王、そしてトライアスロンという3つの要素が巧妙に組み合わされ、芸術家であり表現者としての氏の才覚に圧倒された。

1週間という期間は、異文化に浸るには短い、とも言えるだろう。ただ、その期間だからこそ、感じることができる要素もある。例えば、同行した建築家の荒木公樹さんは、ベルギー・ブリュッセルのトラムの吊革が、本当に革で出来ていたことに、いち早く気付かれた。無論、変わらぬ日常の中にも、何かを見いだす感性も重要である。常に勘が冴え渡るためには、それこそ、大阪で着地型観光に取り組むオダギリサトシさんの言う「異日常」へのまなざしを持つことであり、それは言うまでもなく異常を楽しむこととは異なる。

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