立命館での仕事が「本業」となって丸2年が経とうとしている。共通教育推進機構という、学部を横断して教学を展開する組織に所属すると同時に、立命館大学における教養教育の中でも「社会で学ぶ自己形成科目」を推進するサービスラーニングセンターという機関の副センター長という立場もいただいてきた。この「副センター長」という立場は「役職者」という扱いとなるため、「本業」に加えて「職務」が優先されなければならない、と、特にこの1年、厳しく指導をいただいてきた。そんなこともあって、来年度からは立命館以外の立場が「グッ」と減らせていただくこととなる。
やや自戒的に語るなら、新しもの好きで、フットワークが軽く、お調子者、といった評価が相まって、想い起こせば学生時代から、多くのもの、こと、ひとに関わってきた。今日もまた、お声掛けいただいたお役の一つ、公益財団法人平和堂財団による環境保全活動助成事業「夏原グラント」の二次審査のため、滋賀県守山市までお邪魔させていただいた。一次審査は書類に記された文字と数字から、目的の達成、環境保全への寄与、計画的な運営、適切な資金の執行、継続性が判断されるが、二次選考では17の団体からそれぞれ「これまで」の成果と課題、そして「これから」の展望と構想が語られる。そうして、書類の内容との一貫性を大きく考慮しながら、発表への姿勢、態度、質疑応答での反応などの印象を語り合いつつ、最終的には5人の選考メンバーによる合議で、助成対象と助成額が決定されていく。
一方で、単に新しいものだけではなく、伝統的なもの、歴史的なものにも関心がある。ほぼ一日仕事であった助成金の審査の後、急いで駆けつけたのが、今、住んでいるマンション住民での「緊急の打ち合わせ」であった。詳細を省いて記すと、ここは1984年に居住希望者らが建設組合を組織し、土地の取得から建築計画までを多様な人々と共に織りなして創りあげた「コーポラティブ住宅」なのである。1986年の竣工時から、すなわち建設組合を立ち上げたメンバーも今なお居住しているのだが、今回、新たにお迎えする方が、そうした「共同的・協同的・協働的(コーポラティブ:cooperative)」な価値を重視していると仰るものの、全くもって自己の利益と都合で、理事会としての裁定を「好意的」に解釈し、「黙認が許されるだろう」という前提で、住戸内に及ぶ共有設備の改修に手を付け終えていたのだ。
新たなものが創発されことと、古くからのものが継承されること、その両者に共通するのが価値の調整と共有という営みである。朝からの助成金の審査では、滋賀県で根を張ってきた平和堂さんによる環境分野の活動の支援のため、どのような担い手を選出するのが適切かを判断したが、そこでも活動の内容よりも、何を実現したいのか、現実にできそうなのかが問われた。そして夜は、「それを求めるなら、別の住まいを探した方がいい」といった声が、比較的新しい住民の一人から出るほど、自分「たち」が何を大切にしているのか、互いに問いなおすこととなった。振り返ると朝から夜まで、お金の額では量ることができない価値を扱い続けた一日であった。
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