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2017年4月7日金曜日

類型に拘りつつも囚われずに

デンマークに来て1週間、受入担当教員の2名と、最初のリサーチミーティングを行った。13時から、約1時間50分ほどだった。ラウンジでのコーヒーの調達なども含まれての時間だから、正味の時間はもう少し短い。それでも、英語でディスカッションをすること自体、少なくとも10年ほど前の自分であれば、相当の驚きを持つことだろう。

ただ、受入担当の2人も、母語が英語ではない。Mogens Jensen先生は穏やかだが、デンマーク語の感じが発話の中に時折混じる感じであるし、Casper Feilberg先生は時々ドイツで概念が示されるときがある(以下、ファーストネームだけで記していく)。もっとも、CasperはPBLについての論文で博士号を取得したが、その中ではハーバーマス、フーコー、ブルデューなどの理論が積極的に用いたことも影響しているだろう。また、Mogensはよりよい実践家の輩出のためにPBLを進めているという立場の違いがある。

今日のリサーチミーティングでも、PBLに対する2人の立場の違いは明らかで、だからこそ、2人の先生方に招いていただくことができたことに感謝せねばならない。打ち合わせ場所がCasperのオフィスだったこともあって、本棚から書籍を持ってきて、オールボー大学のPBLの特徴を解説してくれた。今日のミーティングで用いられたのは、その名も『PBL』で、副題に『Problembaseret læring og projektarbejde ved de videregående uddannelser』とあり、インターネットで英語に訳すとProblem-based learning and project work in higher educationとなるから、さしずめ高等教育における問題に直結した学習とプロジェクト研究の方法といった書物である。そこに、オールボー大学のPBLにおける3つのカテゴリーが示されていた。

オールボー大学は、PBLの推進拠点としてUNESCOに選定されている。前掲の3つのカテゴリーとは、その推進役であるAnette Kolmos先生の文献によるところであり、教員によって向き合い問題も方法論についても予め枠組みが定められた「Case/task based project」、専門と方法論だけが定められ扱う問題は学生が自由に選び抜く「The discipline project」、そして現実社会の問題を分析しながら教員から問い直しが促される中で専門性を研いていく「The problem based project」の3つに分けられるという。もちろん、こうして類型に整理されることで、枠組みの理解が進むが、整理されたものをただ受けとめるだけではなく、改めてPBLという教育法が学問的に、そして実質的にどのような成果をもたらすことができるのか、丁寧に見ていきたい。ちなみに次のリサーチミーティングは21日で、今度はMogensが自身の教育実践と研究を紹介してくれるとのことである。


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