ブログ内検索

2017年10月2日月曜日

通すのではなく翻る

この4月から、ある本の翻訳のプロジェクトに参加させていただいている。今日は日本時間の9時に、現時点での最新原稿を集約するという締切が設定されていた。あいにくデンマークとは7時間の時差があるため、私はデンマーク時間で10月1日の13時55分に送付を終えた。そして日付が変わって今日、それぞれの章を担当される方から、続々とメールで提出されていった。

開き直った物言いとなってしまうのだが、これまで、どちらかというと締切を守れない傾向にあった。結果として、お詫びや言い訳やお伺いの文面を多々、記してきたように思う。わかる人にはわかる「本当の締切」の存在を知った頃から、そうした傾向はより強まった気がしている。ただ、それは性悪説に基づく配慮であり、一方で提出後の作業工程(いわゆるポストプロダクション)にしわ寄せが行く。

実は出版が前提となった翻訳プロジェクトに参加するのは初めてである。以前、2005年には出版を前提として立ち上げられた翻訳プロジェクトに参加したものの、2年ほどで事実上の頓挫となってしまった。当時のリーダーとは数年前までは年賀状をやりとりし、その他のメンバーの中には今なお付き合いを重ねている人もいるが、あまりその件については切り出すことがない。ただ、その際の経験は今回のプロジェクトに活かされており、デンマークに滞在を始めてからの参加ゆえに、まだ対面したことのない方々とのあいだではあるが、よいものになればと工夫を重ねているつもりである。

今はGoogle翻訳の精度も上がってきているため、わざわざ翻訳しなくてもいいのではないか、という声もあるかもしれない。そもそも、英語が原書なら、ある程度は理解できるだろうし、理解できるように努力するのが研究者ではないか、という考えの方もいるだろう。しかし、母語が日本語の方々に対して、意味が通るように訳す(つまり、通訳)のではなく、社会システムや文化の違いを前提として日本の環境をもとに翻って訳す(つまり、翻訳)のは、なかなか楽しい。一方、日本で慣れ親しんだ味をデンマークの食材で再現するのは難しく、今日の晩ご飯には、先般、一時帰国した際に調達した「お好み焼きソース」に活躍してもらうことになった。


0 件のコメント:

コメントを投稿