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2017年10月11日水曜日

研究素材の下ごしらえ

今日は水曜日、オールボー大学では恒例のキッチンセミナーである。にしても、なかなか巧妙な名付けだと感心する。漢字に訳してしまうと「台所演習」あるいは「厨房討論」などとなってしまうが、それはそれで面白い。ともかく、旬の研究材料を持ち寄る場という理念が体現されている点が秀逸である。

今日は珍しく2本の発表だった。共に学生だったからなのかもしれない。一人はオーフス大学の大学院生で、小学校での多文化共修の環境についてだった。もう一人はオールボー大学の大学院生で、ブルーナーとヴィゴツキーとグルントヴィの3人の教育哲学を比較し、研究者による社会貢献のあり方について問うものだった。

後半のプレゼンテーションでのキーワードの一つが「scaffolding」であった。PBLでもよく用いられる概念の一つである。他者とつながり、関わり合うことで、自らの可能性が引き出される、そうした発達、習得への枠組みだ。エンゲストロームによる活動理論を学ぶ過程で、ヴィゴツキーの最近接領域(ZPD: Zone of Proximail Development)の観点を学んだが、ここに来て、改めて興味を深めている。

ディスカッションの中で「Knowledge on the groud(地に足着いた知識)」という表現が使われた。その例として、寄宿学校(boarding school)における生活環境がもたらす学びに触れられた。そのとき、5月に訪問したノーフュンス・ホイスコーレでのモモヨ・ヤーンセンさんのお話とつながった。文字通り、キッチンに立って、研究の素材の下ごしらえを共にさせていただいた気がした。


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